
坊主頭で濃い茶色の袈裟のような衣装を身にまとい、町の人々にお布施を求める僧侶たちが世界中に現れているという。
【動画アリ】空中で静止する僧侶! フワフワと浮く身体=ネパール
信心深い人間ならば思わず、彼らの活動の手助けをしてしまうところだが、実は彼らが中国から世界に輩出された"ニセ僧侶"の場合もあるとニュージーランド華字メディアのスカイ・キゥイが報じている。同誌によれば、僧侶に似た物乞いは、中国の専門組織に約1万元を支払った後、1週間ほど指導を受け、剃髪を行い、衣装を渡され、世界各地に派遣されているという。
また彼らの組織機関が関与しているかは定かではないが、ニセ僧侶による被害も頻発している。アメリカ・ニューヨークでは道行く人々に寺の写真を見せるなどし、お布施を強要した者たちが逮捕されている。またイギリスでは「ロンドンで欧州最大の寺院を作る」などとだまし、寄進を求めていた例もあるという。さらにオーストラリア、ニュージーランド、香港などの世界各地でも被害者が続出していると伝わる。
また、日本でも彼らに似た人物たちはいち早く注目されており、お金をもらった後に路上で喫煙しつつ、お金を数えている姿が都内を中心に目撃され、Twitterで話題なるなど、彼らに対し、『ニセ僧侶ではないか』という疑惑が絶えなかった。
彼らの風貌から、市井の人々は、まるで仏教系の修行の1つである"托鉢"と勘違いし、お金を支払ってしまうこともあるだろう。
托鉢とは、僧侶が鉄鉢を持ち、信者の家々を巡り、生活に必要な最低限の食糧などを乞う修行だ。地域によっては、托鉢を主な収入源としている仏教徒もおり、中には食事を摂る手段としている者もいるという。だが、その際、僧侶は、信者たちに自身からお礼などを強要することはないのが前提とされる。
今回のニセ僧侶には、自分から声をかけるなど、本来の托鉢とは明らかな違いが散見される。信心深い人間をターゲットにした神仏をも恐れぬ詐欺行為といえるだろう。金銭をだまし取られた人たちももちろんだが、一番の被害者は真面目に修行を行っている本物の僧侶たちであることは間違いない。僧侶たちのためにも一刻も早く撲滅が望まれる。
(文=本山文七)