
阪神の沖縄・宜野座キャンプで話題を独占中の江夏豊臨時投手コーチ(66)。関係者からは“江夏ロス”を心配する声があがっている。
4日の江夏氏の目は藤浪に向けられていた。ブルペンでの熱投に「今日は真剣にやっていた。毎日流さずにああやればいい」とたたえたが、これまでの評価は辛口。キャンプ初ブルペンとなった2日には「よくあれで(昨年は)2ケタ勝ったなというような投球だったな」とバッサリ。この日の熱投で及第となった藤浪は「江夏さんがそういうならそうでは」と苦笑いを浮かべた。
今キャンプは新戦力の上積みがないため、例年よりも若手が多く宜野座に集結。江夏氏の鋭い眼光が注がれる中、緊張感のある練習が続いている。特に投手陣はにらみが利いているようで「例年以上に飛ばしている感じ。手を抜いていないし、今年も先発投手を中心に脅威的な成績を残されそう」(セ球団スコアラー)と、効果は抜群のようだ。
とはいえ、江夏氏は7日に指導を終了。複数の球団関係者は“反動”に気をもんでいる。
「何だかんだ言って、ナインは江夏さんに怖さを感じていたし、気合のこもった投球をする投手も多かった。ですが、江夏さんがいなくなっても、緊張の糸が切れずにそれが継続できるか、気が抜けて不調やケガ人が続出しないかが心配」
さらには、野手陣を指導する掛布DCも宜野座を離れる予定。「江夏、掛布両大物OBがそろったことで、ナインはもちろん、コーチ陣だって片時も2人のことから頭が離れなかった。というのも、2人を招聘しているのは球団首脳陣。2人からの評価が低ければ、自分たちもとばっちりを受けかねない」(同)と戦々恐々だ。
近日中には、今キャンプに絡めて、江夏氏の特番や特集がテレビ各局で放送される予定で、伝説左腕の注目度は増す一方だ。それだけに「今後も定期的に活を入れにきてほしいという声は多い」と同関係者。現首脳陣がその役目を担えていないのは残念だが、レジェンドへのラブコールは高まるばかりだ。 (山戸英州)