
もはや定番となったハイボール・ブームに続き、NHK朝の連続ドラマ『マッサン』人気もあってか、年代や性別を問わず広く支持を集めるようになったウイスキー。
⇒【写真】世界5大ウイスキー
さて、そんなウイスキーだが、世界には「5大ウイスキー」が存在するのをご存じだろうか? ウイスキー造りに関して、高い品質と安定的に製造できるシステムを有するアメリカ、スコットランド(イギリス)、アイルランド、カナダ、そして日本の5か国に、それぞれ「5大ウイスキー」と呼ばれている珠玉の1本がある。これらの国は各々独自のスタイルの製法を発展させ、現在では自国のみならず世界中に愛好者が存在するという。
それぞれの特徴は下記のようになる。
◆アメリカ
トウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦などが原料。夏は暑く、冬は寒いという厳しい自然環境によって生まれる独特の甘さが特徴といわれる。ケンタッキー州が発祥のバーボンウイスキーが世界的に有名。バーボンのほか、原料や製法が異なるコーンウイスキーやライウイスキーなども生産されている。
◆スコットランド
現在、世界でもっともウイスキーの生産量が多いのがスコットランド。麦芽を乾燥させる際に使うピートの香りが強いものも多く、その特徴的なスモーキーなフレーバーに虜になる人も少なくない。『マッサン』で主人公がウイスキー造りを学ぶため留学したのもスコットランド。
◆アイルランド
“ウイスキー発祥の地”とされ、ウイスキーという言葉の由来は、「命の水」を意味する「uisce beatha(イシュケ・バーハ)」というアイルランド語だといわれている。ほかの産地と比較すると、熟成期間が短いため、軽やかな味わいのウイスキーが多い。
◆カナダ
「5大ウイスキー」のなかでも、軽めの口当たりが特徴なのがカナディアン・ウイスキー。ブレンデッドウイスキーと呼ばれる、2種類の異なるウイスキーをブレンドしたうえで再貯蔵して、製造されたものが主流。
◆日本
日本でウイスキーが製造されはじめたのは20世紀に入ってからと、ほかの4か国と比べると最後発。しかし、寿司など和食にも合う日本ならではの進化を遂げた今日では、世界中にファンを持つ。
そんな折、サントリースピリッツ社とビームサントリー社の経営統合によって、世界で唯一「5大ウイスキー」を有するスピリッツメーカーとなったサントリーが、各国代表のアンバサダーを招いて解説付きで楽しめるイベント「ビームサントリー 世界五大ウイスキーアンバサダーセミナー」が行われたので、足を運んでみた。同セミナーで提供をされたのは、アメリカン・ウイスキー「ジムビーム」、スコッチ・ウィスキー「ラフロイグ10年」、アイリッシュ・ウイスキー「カネマラ12年」、カナディアン・ウイスキー「カナディアンクラブ」、ジャパニーズウイスキー「響17年」というラインナップだ。
美しい琥珀色をした「ジムビーム」は、バニラやキャラメルのような甘みを帯びた香りが特徴。ただし、一端口に含むと、甘みはほんのりと香る程度で、キリッとした飲み口が印象に残る。ストレート、オン・ザ・ロック、ハイボールとどんな飲み方にも適応しそう。
続く、「ラフロイグ10年」は香りがともかく特徴的。「磯のよう」とも形容されるこの香りや独特の舌ざわりは好き嫌いがはっきりわかれそうだが、“英国王室御用達”と聞くと、とても大切に味わいたくなる。
アイルランドの緑を思わせるグリーンのビンが鮮やかな「カネマラ12年」は、スモーキーかつ樽から移った木の香りが複雑に交じり合う。色は5つのなかで一番、薄く、透明に近い。
「カナディアンクラブ」は濃厚な甘み、香りが特徴。飲む口のまろやかさは随一でカクテルなどにもよく使われているというのも納得。
最後は日本育ちのウイスキー「響17年」。ほかのウイスキーと比べてみると、フルーツが交じり合ったような、その香りの複雑さに驚く。
普段は、何気なく「ウイスキー」として同種の酒として飲んでいるような気がしても、実際は産地や製法、ブランドによって、その味わいは本当にさまざま。飲み比べてみることで、初めてわかる個性もある。たまにはゆっくりとウイスキーを味わいながら、世界に思いを馳せるのはいかがだろうか。 <取材・文/日刊SPA!取材班>