
ソフトバンク・松坂大輔投手(34)=前メッツ=が、9年ぶりに復帰した日本式キャンプでの調整ペースの“勘”を取り戻しているようだ。
10日には、捕手を座らせて今キャンプ最多の143球を投げ込んだ。多くの球数を重ねて納得のいく形に仕上げるのが本来の姿だけに、やはり“日本式”がフィットしているのだ。
西武時代に同僚だった三井浩二氏(メジャー解説者)は「これが最適なやり方。すっかり日本のキャンプにも慣れた。本人も実感しているはずで143球でギアが入った。これでいい」と太鼓判を押す。
米国時代は球数を制限されていたが、松坂は投げ込みを数多くこなして仕上げるタイプだ。西武時代には1クールに1回の割合で投げ込みを敢行。時には300球を超えたことがあったほど。球数を多く投げることで、調整のギアを1段ずつ上げていくのだ。
「年齢を重ね34歳だが、西武時代の調整が一番合っているのは間違いない。投げ込みすること自体が手応えを感じた証拠だった。周りに言えない葛藤もあるだろうが、今は自由に投げ込めるからストレスもない。うまくはまれば投げ込むたびに課題のフォームも体になじむはず」(三井氏)
投げ込みは、自らの状態を推し量る重要なバロメーターなのだ。
工藤監督は11日の練習開始後、松坂を呼び止め今後のスケジュールを確認。「いつから、どう、どれくらい投げるか聞いただけ。自分が現役の時も(監督から)聞かれた方がうれしかったから」
指揮官のこの気遣いこそ、調整が順調である証しだ。 (スポーツライター・梶原昌弥)