イスラム過激派組織「イスラム国」による外国人人質事件で米国人は3人が殺害され、1人が安否不明となっている。英国を除く欧州各国の人質の多くは解放されており、米国人の家族の不満は大きい。米政府が対応の見直しを進めるなか、人質の関係者や拘束経験を持つジャーナリストの意見から、家族による身代金支払いの是非、イスラム国に関する報道のあり方など、様々な課題が浮かび上がった。
ワシントンで4日開かれたシンポジウムで、イスラム国に昨年8月殺害された米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏の母親ダイアンさんが政府の対応を厳しく批判した。
「政府内の意思疎通で大きな過ちがあった。連邦捜査局(FBI)は国務省と連絡を取らず、ホワイトハウスともつながっていなかった。我々には何の情報も提供せず、ただ政府を信じろと言うだけだった」
ダイアンさんが息子の殺害映像が公開されたのを知ったのはAP通信記者からの電話だった。その日、政府機関から映像が本物であるとの連絡はなかったという。
ダグラス・フランツ国務次官補(広報担当)はシンポジウムで「政府として正しい対応ができなかった」と問題を認め、政府全体で人質事件の対応に関する見直しを進めていることを強調した。テロ組織への身代金支払いや人質交換に応じない原則は変えないが、政府内の意思疎通や家族との連携強化に向け、近く大統領に具体策が提案されると明らかにした。