薬師寺「食堂」創建時の威容…17年5月再建へ | 国際そのほか速

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 創建当初の伽藍(がらん)の復興を進めている奈良市の薬師寺は10日、僧侶の食事や修行の場だった「食堂(じきどう)」の再建工事を4月に始めると発表した。食堂は、既に再建した金堂や大講堂と並ぶ主要建築物で、奈良時代、平城京で東大寺や大安寺に次ぐ威容を誇ったとされている。

  再建する食堂は東西41・5メートル、南北16メートル、高さ14メートル。約5万枚の瓦を使い、日本画家田渕俊夫さんの「阿弥陀浄土図」(6メートル四方)を本尊にまつる予定。鉄骨造りで、外観は木造にする。3月21、22日に起工式を行い、17年5月の完成を目指す。

  薬師寺の食堂は、平安時代の973年に焼失し、1005年に再建された。同寺の伝承では、室町時代に再び焼けたとされ、江戸時代の資料にはみられないという。

  同寺は1968年から、伽藍の復興に取りかかった。奈良文化財研究所が2012~13年に行った大講堂北側の発掘調査で、「薬師寺縁起」(1015年)が創建時の食堂として記述しているものとほぼ一致する遺構が確認されており、遺構を参考に、同じ場所で再建を進める。山田法胤(ほういん)管主は「食堂が金堂、大講堂と並ぶことで、創建時の姿を想像しやすくなる。食堂で法話などを行い、訪れた人に仏の心を学んでもらえる場にしたい」と話している。