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「『こんにちは!』ってみなさんは大きな声で毎日あいさつができていますか」
「5・4制」の小中一貫校・京都市立東山泉小中学校(東山区)。1~5年生が学ぶ西学舎の体育館で11月中旬、学習発表会があり、日頃は約750メートル離れた東学舎で中学生と一緒に学ぶ6年生も参加。下級生に問いかけた後、「東学舎では6年生から9年生までが元気にあいさつをしています」と報告した。
「セカンドステージ」で待っています
私服姿の1~5年生を前に、中学生と同じブレザーの制服に身を包んだ6年生が壇上に並び、「セカンドステージ」と名付けられた東学舎での生活を紹介。「皆さんの進級を待っていますね」と締めくくった。6年生の真鍋一歩希(いぶき)君(12)は「5年生に楽しみにしてもらえるよう、東学舎の雰囲気を伝えた」。
開校前、6年生が中学生と一緒の校舎で過ごすことについて、一部の保護者は「早すぎるのではないか」と不安がった。自治連合会長で、学校発足に向けた協議会の代表幹事を務めた石井良之さん(69)は学習発表会を見学後、「当初の懸念は払拭された。制服を着た6年生は、上級生を見習おうと大きく成長した」と感慨深げだ。
部活がつなぐ先輩と後輩
6年生が昨年度まで通った3小学校は児童数が少なく、いずれも各学年1クラスだった。5年間、同じメンバーで学校生活を送ってきたため、あえて説明しなくても互いの気持ちを理解できる反面、人前で話すのが苦手な児童が多かった。同校開校直後の4月下旬に行われた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)では「友達に伝えたいことを伝えられる」と答えた割合は約56%と、全国平均を約20ポイントも下回った。
そんな6年生が上級生と接することで徐々に変化した。部活動の影響も大きい。6年生は東西両学舎の部に参加でき、80人のうち西学舎で37人、東学舎で61人が活動する。西学舎の金管バンド部、東学舎の吹奏楽部で活躍する助田夏萌(なつめ)さん(12)は「先輩に教わったことを金管バンド部でも生かす工夫をしている」と話した。
西学舎での学習発表会の翌日、東学舎の児童生徒会役員を決める選挙があった。卒業を控えた9年生に代わり、8年生が会長に就き、7年生が副会長などを務める。6年生も庶務役で、1人が初めて役員になる。
立候補した6年生4人は、体育館に集まった6~9年生全員を前に力強く演説。投票で庶務に決まった長谷川信哉君(12)は、「みんなの思いを背負って活気ある学校をつくっていきたい」と語った。これから1年間、先輩たちと一緒に東学舎の運営を担っていく。
(この連載は、石井正博が担当しました)