<第2回>入社5年がカギ! 女性のキャリアは年齢との競争 | 国際そのほか速

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<第2回>入社5年がカギ! 女性のキャリアは年齢との競争 
  • 石原さん(撮影 高梨義之)
  •   連載「急げ! 女性リーダー育成」2回目の今回は、リクルートワークス研究所の石原直子主任研究員らがまとめた「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」から、女性のリーダー育成の具体的スケジュールを抜粋して紹介する。

      (※年齢は、4年制大学を22歳で卒業し、入社した女性が標準的に昇進する場合の目安)

     1.「トップが入社式で将来のリーダーへの『期待』を表明」22歳ごろ

      スタート時点で、「リーダーになる覚悟」を持ってもらうことが大切だ。入社式で、経営者が口に出し、男性同様に女性に対し、明確に期待を表明しよう。

      入社後、上司や人事担当者も期待を伝え続けよう。特に、日常的に「会社からの期待」を伝え続ける上司の役割は大変重要だ。

     2.「入社5年、3部署の原則」(「成長の加速期」)22~27歳

    •   入社後半年間を「お試し」期間にあて、10年がかりで一人前に育てていくのは、育成に時間がかかりすぎる。女性のキャリア構築は、常に時間との競争だ。「1年・2年・2年」「1年半・1年半・2年」などに区切り、5年間で計画的に、「成長と経験」を先取りさせよう。

        この段階で「単独での成果の出し方」「チームメンバーとしての役割期待に応える方法」を学習させ、また、この5年間で、仕事ぶりの良い女性ほど1か所の職場に固定されるような、男女における配属傾向と異動時期の差を完全になくす。

       3.「27歳でリーダー職級に昇格」27歳

        「入社5年で3部署」のステップを踏むことで、経験の幅を持った人材に育ったはず。ここまでの実績や能力の伸びを基準に、評価の高い人からリーダー職級に昇格させる。実質的な最初の選抜であり、将来のリーダーを生む道筋整備のための絞り込みだ。

        「子どもを産みそうだから」「出世したくなさそうだから」という“配慮”は不要だ。

       4.「仕事と人生の長期的・戦略的視点を持たせる研修の実施」27歳ごろ

        27歳前後のこの時期に「当たり前のように管理職になる」と決めてしまい、それを前提にしたキャリア形成を考えさせる。いつ結婚、出産するかわからない(からキャリアも決められない)と思っていると、仕事に対して「腹がくくれない」からだ。

        子どもの有無や人数により、出産の前後で仕事の内容がどう変わるか、子育て費用の試算、時間短縮勤務とフルタイム勤務の違いによる給料や仕事機会などを試算させる。また、今既にリーダーになっている女性と自分は環境がまったく異なり、「ロールモデルなどいない」「自分たちが道を作っていく」と発想を転換してもらう。

       5.「プロジェクトリーダーで経験値を増やす」(リーダーシップの獲得)27歳~

        3.でリーダー職級に昇格した人材には、何人かのメンバーをまとめるチームリーダー、所属を超えたプロジェクトリーダーという仕事機会を与え、「他者を率いて成果を出す方法」、すなわち、リーダーシップを獲得させる。ここで、「成果を出しやすい」仕事を与えて「甘やかす」のはNG。上司が積極的にコミットメントする(責任を持って関わる)。

      仕事をフルマラソンでなく「短距離競走」でとらえる

       

       6.「『2年1単位』で仕事を区切る(モジュール化)」

        入社6年目以降は、仕事を「2年間の短距離競走」ととらえ、2年ごとに区切る(モジュール化)。1モジュールごとに、能力や成果獲得の目標を明示し、その成果を確認して、次のモジュールに異動させ、素早く幅広い経験を積ませる。「妊娠・出産から子どもが1歳になるまで」も約2年間であり、出産・育児期間を1モジュールとして管理することができる。また、留学、大学院での学びなどもモジュールに活用できる。

       7.「標準5モジュールで管理職へ」~37歳ごろ

        6.で区切った仕事を標準で5単位経験し、成果を出した人を管理職に登用する。1モジュールを出産・育児にあてた人なら新たに1モジュールを経験し、6モジュールで昇進するのが標準型だ。また、高い成果を出し続けた人は3~4モジュールでの登用もありうる。モジュール管理により、「出産などによる一時的なキャリア中断」イコール「出世競走からの離脱」とはならなくなる。

       8.「次世代リーダー候補は個別人事管理で鍛える」40代以上

        管理職になった後は、十人十色で成長、成熟していく。執行役員、取締役などの経営ボードが水先案内人となって、責任を持って、会社に必要な人材を育てていく。役員1人が育成責任を負う次世代リーダーは10~30人(会社規模による)。

        ここから、部長クラスや役員における女性比率を上げる段階に入ることができる。

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