
- 不況体験が少子化に与える影響を分析したプリンストン大のカリー教授
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不況を経験した若い女性は、景気が回復しても、子作りを先延ばしにする傾向がある――。米国で最近、こんな研究結果がワシントン・ポストなど有力紙で報道され、話題を集めている。
研究したのは、米プリンストン大のジャネット・カリー教授(54)らで、1975年から2010年までの約1億4000万人分の出生記録を分析。過去のデータなどから、08年のリーマン・ショックの際に20~24歳だった女性は、40歳になっても子どもを作らない人が平均より8.9%増えると試算した。
景気の悪化が結婚や子育てを困難にし、少子化につながることは長く指摘されたが、今回の調査により、不況が終わってもこの傾向が続くことが判明した。
カリー教授は背景として、「20歳代前半に不況を経験する女性にとって、同世代の男性は低賃金のため、結婚相手としての魅力に欠け、結婚自体が減っている」ことを挙げた。さらに、「日本で少子化が続いているのも、不況が長引いた結果」と指摘し、経済不振が多産化を阻んでいる例として日本に言及した。(米ニュージャージー州プリンストン 今井隆、写真も)