
こうした品を預かる保管サービスが人気を集めている。
倉庫・保管業「寺田倉庫」(東京)が2012年に始めた保管サービスは「minikura(ミニクラ)」。インターネットで手続きをすると段ボール箱が届き、本や服などを入れて着払いで送り返す。
箱には、新書判のマンガが170冊ほど入る「レギュラーボックス」、ハードカバーの本が70冊ほど入る「ブックボックス」、ジャケットを10着ほど入れられる「アパレルボックス」の3種類があり、箱代はいずれも250円、保管料が月250円(税込み)。全国どこでも利用可能だ。
現在、同社が保管している品はおよそ1000万点。衣類や、古いファッション雑誌、アニメのフィギュアなどが多い。子どもが描いた絵や採点済みのテスト、教科書などもあるという。
同社が箱を開けて、1箱につき30点まで撮影し、画像を専用ホームページに掲載するため、CDや本がどの箱に入っているのかわからなくなることがない。800円を支払うと箱から取り出して送ってくれる。1年以上預けた箱を、箱ごと取り寄せる場合は無料。
「曲はiPod(アイポッド)に入れたので、もうCDを聴くことがないが、二度と手に入らないかもしれないから捨てられない」と話すのは、高校時代に聴いたCD約200枚などをミニクラに預けている川崎市の会社員女性(36)。家族3人で暮らすマンションには収納スペースが少ないために、1年前から預けている。「ネットを通してCDのジャケットをいつでも見られるので、手元になくても『自分のモノ』という感じがして安心できる」
本や服、無理に捨てるとストレス
- 「ミニクラ」の3種類の箱のうち、「アパレルボックス」にはジャケットを10着ほど入れることができる
利用者が増えている背景として、同社の柴田可那子さんは、「東日本大震災で、思い出の品が流されて悲しむ被災者の様子が報道された。『捨てないで保管しておこう』と多くの人が考えるようになったのではないか」と話す。
保管サービスには、様々な企業が参入している。
掃除などの代行業「カジタク」(東京)が、12年に始めたのは「収納らくらく便」。3か月保管で、基本料金が2041円(税込み、返送料含む)。対象は全国。服を回収袋に入れて送ると、クリーニングして9か月間保管してくれるパック(1万2000円税抜き)もあり、「服の置き場がない」という人に好評だ。
1都3県に住む人を対象に日本通運川崎海運支店(川崎市)が行っている保管サービスは「ネット イン クローゼット」。専用のホームページを使って、どの箱に何を入れたのかを自分で登録しておくこともできる。箱は3種類あり、最も小さいSサイズ1箱の場合、箱代が500円、モノを入れた箱を送り返す送料が1250円、保管料が月400円(いずれも税込み)。
部屋の片づけサービスを提供する「サマンサネット」(東京)社長で、お片づけアドバイザーの杉之原冨士子さんは、「思い出深い品を無理に捨てようとするとストレスになる。大掃除の時は、『今、使っているもの』と『使っていないもの』、そして『使ってはいないが、どうしても捨てられないもの』に分け、捨てられないものは保管サービスに預けるようにしては」と提案する。(吉田尚大)