グーグルはもはや「ベンチャー」ではないが…
とある30人ほどの日本のITベンチャーを経営される方から
「シリコンバレーのベンチャーのオフィスってカッコいいですね。うちの会社もああいうインテリアにしようと思います」
と言われたことがあります。
私は「?」と思いました。30人くらいのシリコンバレーのベンチャーでそんな素敵なオフィスのところがあったかな、と。そこで、
「例えばどんなベンチャーのオフィスですか?」
と聞いたところ
「グーグルとかフェイスブックとか」
という返事に仰天しました。そのあたりの会社はもはや「ベンチャー」という感じではありません。特にグーグルは押しも押されもしない大企業です。
米国IT企業の規模感を小さめに誤解?
しかしながら、一般的に日本では、ベンチャーを含む米国のIT企業の規模感をかなり小さめに誤解している人がかなり多いように見受けられます。そこで今回は「図解 日米IT企業比較」をお届けしたいと思います。
まずは会社設立年と時価総額、売り上げをチャートにしてみました。対象は、それなりに知名度のある会社です。横軸が設立年、縦軸が時価総額、円のサイズは売り上げで、金額は1ドル100円で換算しました。
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米国が Microsoft、Apple、Oracle、Yahoo、Amazon、eBay、Google、Facebook、Twitter、日本がソフトバンク、ドコモ、ヤフージャパン、楽天、ガンホー、サイバーエージェント、DeNA、ネクソン、グリーとそれぞれ9社ずつです。
日本勢はソフトバンクとドコモ以外は右下に固まってしまいました。
なんだか青丸ばかりで寂しいので、日本最大の時価総額を誇るトヨタを強引に入れ、参考までに創業100年を超すアメリカのIBMもいれるとこんな風になります。
売り上げ(円のサイズ)はAppleを抜いてトヨタが最大になりましたが、時価総額では日本最大でもApple、Google、Microsoftにはかないません。
そこで今度は、規模の大きい会社を除き、このチャートでは見えない右下の方の企業にフォーカスしてみたいと思います。対象は、上記のチャートに含まれていたガンホー、サイバーエージェント、DeNA、ネクソン、グリーに加えカカクコムが日本側に入っています。米国側はレビューサイトのYelp、レストラン予約サイトのOpentable、および昨年上場した注目されるベンチャーとしてXoom、Tableau、FireEye、RocketFuelを入れてみました。日米6社ずつです。
今度は日本勢が売り上げ(円のサイズ)では優勢になりました。良いことのようですが、逆に言うと、この規模では米国企業の方が大きく期待されているとも見ることもできます。今後の迅速な拡大への期待が時価総額に織り込まれているために売り上げに比べて高額な株価がつくわけです。
さて、米国では最近、未上場企業が高額な時価総額で資金調達する例が増えています。そこで、「時価総額が20億ドル(2000億円)を超す米国未上場企業」を上記チャートに黄色で加えてみました。未上場企業については売り上げは不明なことが多いので、下記のチャートでは円のサイズは全社同じで、売り上げとは関係ありません。
最近、時価総額100億ドル(1兆円)で2億5000万ドル(250億円)を調達したDropboxをはじめとし、Palantir、Pinterest、Uber、Square、Airbnb、Woodman Labs、Box、Snapchatの9社が「20億ドル超え未上場ベンチャー」です。未上場でこれほどの時価がつくのはただ事ではありませんが、こうしたベンチャーには次のGoogle、Facebookという大きな期待がかけられています。
米国の成功ベンチャーはあっという間に大企業に
というわけで、米国のベンチャーは大変大きいのです。「日米ベンチャー環境の最大の違い」は、事業に見込みがあるとわかってからの拡大のスピードにあり、米国では、創業間もないベンチャーに数百億円の資金が投下され、あっという間に数百人、数千人、という規模になっていきます。今回はそうした「規模感」が少しでも伝わればいいと思ってチャートをあれこれ描いてみました。
なお、この続きはブログ「ON,OFF AND BEYOND」でご紹介しています