
- 商品には会社からと、担当した職人からの手書きの手紙を添える。「ネット販売でもお客さんとのコミュニケーションを大事にしたい」(東京都港区で)=米山要撮影
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衣料品の国産比率が年々低下する中、衣料品通販サイト「ファクトリエ」は、「メード・イン・ジャパン」にこだわり続ける。
「生地は一級品で、襟の縫い目の数は通常の1・5倍。高級な貝ボタンを付けています」。サイトを運営する「ライフスタイルアクセント」(東京)社長の山田敏夫さん(31)が熊本県内で作られたワイシャツを手に説明する。
価格は、百貨店などで売られる同品質の商品よりかなり安い。一流ブランドや百貨店向け商品も手がける国内工場で作り、直接販売しているためだ。「業者のもうけも増え、側面支援になっていると思います」
学生時代、留学したフランスで現地の一流ブランドで見習いとして働いた。そこでは高い技術や品質に相応の対価と敬意を払う土壌が根付いていた。一方、日本では生産の海外移転が進む。コスト削減競争の末に廃業する国内業者が増えている状況に危機感を持つ。
会社設立以来、2年間で200を超える国内工場を訪ね、提携先は京都のネクタイ、東京のニット、岩手のカシミヤ雑貨など10工場に広がった。「工場の持つ技術を高い次元で引き出すのが仕事」。モノ作りの姿勢に共感できるか、必ず自分の目で確かめる。
社員は自分一人だけ。提携工場探しのほか、職人のこだわりを紹介するウェブサイトの記事取材、執筆も行う。商品の管理、出荷、経理も手掛ける。
やるべき仕事や数値目標などを手帳に書き込んで月別に管理する。週末に約2時間、その週の成果を評価し、今後の課題を考える時間を取る。「日本に根付いた服作りの技術が途絶えてしまいかねない。ゆっくりしていられません」
取り組みに共感し、デザインやサイト運営などを手伝ってくれる仲間も増えつつある。提携している九州の工場に昨年、地元の高校を卒業した若者2人が入社したと聞いた。「技術の継承や雇用に少しでも役立つことができればうれしい」(谷本陽子)
◇退社後 安くてうまい店 知人と食べ歩き
庶民の胃袋を満たす安価でおいしい店を見つけて、食べ歩きをするのが趣味。東京・月島のもんじゃ、浅草のもつ煮込み、新宿のタイ料理など、小さな店や屋台などで、「ビールを飲みながら安くてうまいものを食べるのが至福の時間」という。
雑誌などで店の情報を得ると、学生時代の友人、以前勤めていた職場の上司、取引先の工場関係者らを誘って訪れる。
大学生の頃は、リュックサックを背負って世界中を旅した。「地元の人と同じおいしいものを食べて会話し、現地の生活に溶け込むのが好きでした」。一緒に料理を囲むと、初対面でも会話も弾んで、自然と距離が縮まる。「気取らないところに引かれます」
- 通勤はお気に入りの自転車で。会社まで6キロの道のり
- 東京・浅草の工房で作られた財布と名刺入れも販売。自分も愛用
【月曜】
5:00 起床。スマートフォンを使った英会話レッスン
7:00 自転車で出社
10:00 新作のシャツを検品
16:00 東京都墨田区の生地問屋で服地選び
【火曜】
9:00 経費や給与を計算
13:00 業界紙の取材
15:00 ウェブサイト用記事を執筆
【水曜】
17:00 購入者への礼状を手書き
19:00 仕事を手伝ってくれる仲間と会議
【木曜】
13:00 市場調査。銀座や青山の専門店を回る
18:00 商品の出荷作業
【金曜】
8:00 出張。福島県の靴工場を視察
13:00 岩手県のニット工場で新商品打ち合わせ
17:00 青森県の縫製工場で工場長にあいさつし、会食
【土曜】
12:00 ウェブサイト用の商品写真の撮影に立ち会う
22:00 週の売り上げを提携工場にメールで報告
【日曜】
11:00 自宅付近で10キロランニング
14:00 ブログの執筆
- 東京・浅草の工房で作られた財布と名刺入れも販売。自分も愛用
- 通勤はお気に入りの自転車で。会社まで6キロの道のり