ある休日、
ベランダで鳥の鳴き声がしました。
うちのベランダは、
なにもおいていないので、
鳥が食べられるようなものは
何一つないのですが、
それでもなぜか
鳥がおとずれます。
ですから、鳴き声がしても
気にも留めなかったのですが
ずっと鳴き声がやまないので、
カーテンをそっとあけました。
すると、まだ、おとなではない鳥が
うずくまっていました。
やば、巣から落ちたのかな、
ここは、ベランダに猫が来ることもあるし、
保護するべきかしら、
野生の鳥は手続きがどうなのかな、
なんて思いながら、観察していると、
大人の鳥が
その場を離れてみたり、
そばにやってきたりして、
大きな声をあげ続けているのに
気がつきました。
この声が聞こえ続いていたのね、と、
私も一緒になって、
鳴き声を真似ていたら、
その声に呼応して、
こどもの鳥がさえずりはじめ、
やがて、ブルッと大きく体を震わせ、
飛び立ちました。
ベランダの柵に ぶつかりながらも
最後は空に戻れました。
人間は、いざとなれば、
手を出すのは簡単だけれど、
鳥のおかあさんは、
もどかしいだろうな、と
思いました。
手を出しすぎても、いけないし、
手を出した方がよいこともありますし、
子育てや、他人との関係ってむずかしい。
