どうやら

東京も入梅したらしい。
湿気の多い空気や、
傘を毎日持たなければならないことを考えると
少しうっとうしいが、
どちらかといえば雨は好きなほうだ

特に、雨音が好きだ
静かな午後に
少しだけ窓を開けて
雨が、木の葉や軒先に 弾けてるようでいて 
染み込んでゆく

そんな音を
目を閉じて聞いていると
心のギザギザが
滑らかになってゆくような気がする

雨で思い出すのは
中学三年の時
その当時札幌に住んでいた私は
親の仕事の都合で東京に戻ることになった
 
札幌最後の日
半年付き合っていた彼女を家の近くまで送り
自分はさも平気そうな顔で

 
「さよなら」を告げた
 
その時
彼女の涙とともに雨が・・・
中学生だった私は、
彼女の肩を抱くこともできず
ただただ逃げ出すように
その場を離れることしかできなかった

ずぶ濡れになって
それでも濡れているなんて感覚も無くて
気が付いたら
自分の部屋で座り込んでいたのを
思い出す

本当の意味で
失うことの悲しさを
初めて知ったのは
その時だったようなきがする