父が亡くなって数年経ったある日、実家に遊びに行くと、
冷蔵庫にマツジュンの写真が貼ってあった。
たぶん、年末に母が買っているテレビ雑誌の切抜き。

「なぜマツジュン?」と聞くと、「ボケ防止。」と母は言う。
よく見るとマツジュンの横には、どこで仕入れた知識なのか、
手書きの「ボケ防止10か条」なるものも、貼ってある。
「よく噛んで食べる。」、「ウォーキングをする。」などと
ともに、「恋をする。」という一文もある。

「恋って言っても、芸能人でもいいんだって。」
マツジュンへの恋心を常に意識するために、よく目に付く
冷蔵庫に写真を貼ったらしい。

ほんとの恋って、ドキドキするばかりじゃなくて、あの人
今頃何してるかしらとか、ほんとは私のことどう思っているの
かしらとか、嫉妬だったり、せつない思いをする事の方が
多くて。そんな思いもひっくるめた恋心を常に持っていたら、
確かにボケる暇もなさそうだけど。
氷〇きよしさんを、きゃああっと追いかけるようなノリの
恋心でもボケ防止になるのなら、私も誰か探してみようかな。

ミスチルを聞きながら、せつなさに、もんどりうつような恋心を
味わえるのは、若さの特権なのかしらね。