引っ越したばかりで荷物も

 

荷物も片付けていなかった

 

リュックサックと大きめの紙袋二つ

 

たったこれだけが私の当時の所持品の全てだった。

 

「一人ぼっち」が詰まった、なんとも寂しい全財産だ。

 

部屋にあるクローゼットに荷物を入れ替えていた時

 

一通の手紙を見つけた。

 

その封筒はボロボロで、色あせていた

 

中を見ると、昔、いつだったか、時間を持て余していた時

 

自分に当てて書いた手紙だった。

 

『おひさしぶりです。

 

お元気ですか?

 

今更、あなたに手紙を書くなんて実はかなり恥ずかしいし

 

あなたが今、どこでなにを

 

しているのか、僕にはわからないけれど…

 

なんだかんだでしぶとく生きているんだろうと思います。

 

あはたは昔から少しひねくれてて、少し悲観的で

 

難しいことを悩んでるようで

 

実はからっぽで

 

あなたがいつかつまらない人間になってしまうんじゃないかと

 

実は心配だったりします。

 

あなたは今、どこでどんな景色を見てますか?

 

あなたが見ている世界は

 

素晴らしい世界ですか?

 

乱筆乱文でごめんなさい。

 

いつかの僕へ。

いつかの僕より。』

 

この手紙を書いた時、私は今のような生活を

 

思いつきもしなかっただろう。

 

あの頃の自分に言いたい

 

「自分が思っているよりずっと、この世界は残酷だったよ」と