記号と媒体 -3ページ目

(42)日本画を題材にした広告は?

Q:

・美術史からの引用が広告で多く使われるという話があったが、

 日本でそういう例はあるのか?

(イメージ的には北斎などはよく使われている気がする。)



A:

たしかに、いろいろあると思うのですが、

いざ探そうとすると、思いつかないものですね。


むかし、浮世絵みたいな波の光景の中を、

車が走り抜けていくCMがあったような気がするのですが、

あまりにウロおぼえで、検索しても見付けられませんでした・・・


いろいろ検索して、ようやく見付けたのが、

富嶽三十六景の構図を、しょうゆやミネラルウォーターの

広告に用いているというものでした。


→ (別サイトにリンク)



いい例を知っている方がいましたら、ぜひ教えてください。



(投稿者、タナカ)

(41)テクスト外の要素を参照するには?

Q:

・多くの広告に西洋絵画の要素が組み込まれていることは分かりました。

 実際にこれらの広告を目にする人々は、そのような知識を持っていて、

 理解できるのですか?


・エキストラエクストは、そのテクスト外のことを知っているかいないかで、

 その見方にだいぶ差ができてしまうのではないですか?


・美術作品が広告に引用されていることを知らなければ、商品の<洗練>や

 <質の高さ>というメッセージは伝わらないのでは?


・ヨーロッパでは美術作品などを取り入れてCMが作られている、との

 ことですが、それらの作品はみんなが知っていて当然である、という

 ことなのですか?



A:

テクストの外部の要素を参照する場合には、御指摘のとおり、

その要素を知っているかいないかで、

テクストの理解に差が生じると思われます。


美術作品などに関しては、学校教育や文化背景に応じて、

各国ごとに共有される知識があるのではないでしょうか?


日本人にとって西洋絵画は、さほど馴染がないかもしれませんが、

浮世絵などに関しては、漠然としたイメージが共有されていると思います。


広告ですから、多くの消費者に理解してもらえることが理念であり、

誰も知らないようなエキストラテクストを用いても、

それは単に制作者の自己満足ということになってしまいます。


逆に言えば、広告に用いられているということは、

ある程度まで、そのエキストラテクストを理解する層がいるという

ことなのだと思います。


また、美術作品に限ったものではなく、

日本のCMでも「ビートルズ」を模した出演者が登場するものが

ありましたが、このように、人物、事件、風景、などといったものも、

エキストラテクストになり得るものだと感じます。


(投稿者、タナカ)

(40)CMの舞台設定の持つ意味は?

Q:

・新垣結衣主演のポッキーCMのような「テレビ的なCM」と、

 WILLCOM独立編のような「日常のようなCM」などのように、

 舞台設定自体のもつコノテーションのようなものはあるのでしょうか?


A:

広告表現における舞台設定は、大きな意味を持つものと感じます。


記号の意味は、それがどのような場面で用いられるかによって

解釈に差異を生み出し、同じ記号でも異なる意味を生み出します。


これは、コノテーションというよりも、

一般的には「コンテクスト」という概念で説明されています。


質問者の意図は、コンテクストとは違うのかもしれませんが、

興味がありましたら、ぜひ調べてみてください。


(投稿者、タナカ)

(39)全ての広告に暗示的な意味はあるか?

Q:

・表面的な意味より隠された意味が重要とありましたが、

 全ての広告において暗示的な意味はあるのでしょうか?


A:

作り手が意図した暗示的な意味があるかどうか、ということは、

最終的には作り手に確認しない限りわかりません。


これは広告に限らず、絵画やイメージ一般でも、

あるいは言語表現にも共通に言えることだと思います。


ただ、受け手が、暗示的な意味を推測するということは、

全ての広告、あるいは全ての対象を通じて可能ではないでしょうか。


意味作用の記号系を分析するに際しては、

受け手側が対象をいかに解釈するかという観点が重要になります。


その研究を進めたうえで、

暗示的な意味の解釈の妥当性を分析してもいいでしょうし、

人間の一般的な推論能力を論じる観点もあると思います。


(投稿者、タナカ)


(38)テクスト内の反復と大きさの関係は?

Q:

・テクスト内での記号の反復について、

 反復されたものの大小などが異なっているが、

 反復さえしていれば大小などは関係ないのか?


A:

これは、どのような観点で反復しているかに関わると思います。


たとえば、「色彩の対比」や「方向性」という反復であれば、

相対的な大きさの違いは、さほど問題にならないのではないでしょうか?

(もちろん、目につきやすいかどうかはあると思いますが)


反対に、「ある要素は相対的に小さく」というような反復の観点であれば、

当然のことながら、大きさの表され方が重要になると思います。


(投稿者、タナカ)