書くということ | 主夫ライター 突破口の生活

書くということ

昨晩は、某出版社の編集長と新宿で飲んでいました。

店の名前を忘れてしまいましたが、他で飲んだことのない日本酒が置いてある店で、またこれが美味い。ついつい飲みすぎて、日本酒換算で5合か6合飲んでしまいました(一人当たり)。

20代の血液がサラサラな頃にはなんてことのない量でしたが、今は違う。今日はほぼ仕事になりませんでした。

1冊目の本の編集長です。一応増刷はされそうですが、それほど売れていない。以前、その件について申し訳なく思っている旨を話したら、ぱっと一時的に売れるんじゃなくて、長く読み続けられるいい本を書いてほしいと思っていますと言ってくださいました。

本のタイトルを決める際に、営業が(たぶん)売らんかなのタイトルをつけようとしてときに、社長に直談判して今の堅いタイトルにしてくれたんだそうです。

ぼくは、タイトルは出版社が決めるものだから、唯々諾々と従う気持ちでした。ところが、編集長がそれだけの想いで本を出していることを知り、感激しました。年1冊か2冊は、一緒にいい本を作りたいと思っています。


さて、ぼくは神田昌典さんの365日語録というメルマガを取っています。毎日ビジネスに関する神田さん作の箴言が送られてくるというもので、解除しなければ、また1回目から送られてきます。もう4周目ぐらいになります。

なるほど!と思うときもあるし、どうでもいいと思うときもあります。今日は、どうしても好きになれない言葉でした。

キーワード:
出版は、ゲリラ企業がメジャーになるための大きなステップ。

解説:
出版すると、顧客獲得コストがプラスからマイナスに転じて
会社の業績があがる。お金をもらって講演で話す立場になる。
信頼性が増すので、成約率がアップする。
新聞に全国広告を出すことさえ可能となる。
このように180度違うと言ってもいい大幅な変化を
あなたは経験することになる。
(「仕事のヒント」神田昌典365日語録より)

まず、神田さん自身も、またこの言葉自体も否定するものではありません。こういう考えで本を出すのもありでしょう。しかし、これだけを目的に本を出すのは、ぼくは好きにはなれないんです。

だから、アマゾンキャンペーンをやる人たちを否定はしませんが、ぼくは好きになれないんです。さおだけ屋の山田さんが著書で、アマゾンランキングの数字を「作られた数字」として批判しています。ぼくも全く同感です。

自分の儲けのためだけに書く本はやっぱり面白くありません。

なお、神田さんのメルマガには、以下のような但し書きがあります。

┃※神田昌典365日語録本文は著作権により保護されていますが、
┃あなたのビジネスのお役に立てるのであれば、商用の場合を除き、
┃ご自由に転送、転載していただいて構いません。ただ、その際には、
┃「神田昌典によれば・・・」と、出典を明らかにしてくださいね。

┃※知的刺激の材料として活用いただくために、あえて誤解を招く
┃ような過激な表現をしている場合もございます。
┃「こりゃ違うんじゃないか」と疑問に思うところから、ご自身の
┃発想・気づきを深めるきっかけにしていただければ幸いです。
┃内容についてのご質問もお控えいただきますようお願いいたします


疑問に思うのは全然構わないし、出典を明らかにすれば引用も可とありますので、コピペさせていただきました。太っ腹な人です。

引用させていただいたお礼に、登録先を。
  →http://www.almc.jp/

本を出しているからには、やはり一人でも多くの人が手に取って読んでほしい。また一人でも多くの人にメッセージが届いて欲しいと思います。だから、本を売る努力自体を、それこそ否定するつもりはありません。ただ、やり方はあるとは思いますが。

いいたいのは、書く気持の方で、自分のブランドを高めるとか、自分のビジネスの広告のためという考え方は、好きになれないんです。何度も言うように否定はしませんが、100%受け入れることはできません。

別にぼくが立派な人間だということでもないんです。好き嫌いの問題だけで、ブランディングで本を出している人にも立派な人はいます。そこは誤解のないように。その一点だけが嫌なだけなんです。

ぼくは単にこういう姿勢でやっています。見てくれている人は見てくれていて、執筆の依頼も順調にきます。こちらが感激するような感想をくださる人もいます。某紙で好意的な書評もいただきました。ぼくはそれで十分です。やり続けていれば、たまたまヒットするかもしれませんし。ヒットはしたいと思っています。

なんて、偉そうなことを書いていますが、書く姿勢ということで、今日はちょっとショックを受けました。『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』という本を読んでいたんです。鈴木康之さんという名コピーライターであり、コピーライター育成の名人が書かれた本です。ゴルフの本も書かれています。

名作コピーを次々と引用して、何がいいのかを解説した本です。すごい言葉がありました。

聞き手が「それはいい話だ。ぜひ読者に聞かせたい」という衝動に駆られる話を入手するのが広告制作の取材

実は、広告制作の取材の仕事もやっています。ある会社で2本書いたら、気に入ってもらえたらしく、次の注文が2本来ました。今後も来そうな感じです。ただ、それは某IT企業の広告なので、ぼくがITに詳しいところを買われたというのが真相だと思っています。

とはいえ、手抜きの仕事ではリピートは来ません。自分なりに一生懸命書きました。しかし、自分の取材姿勢が、引用文の通りかと言うと、はなはだ心許なかったのです。今後はこういう姿勢で取材したいと思います。

ぼくは、この本を読むまで、コピーライターの仕事を誤解していました。コピーライターというのは文章に関して独特のセンスを発揮するだけの仕事だと思っていたのです。要するに感性でやる仕事だろうと。

しかし、全然違う。ヘッド文でさえ、基本は聞いてきたことから伝えたいと思ったことを書いたに過ぎないというのです。取材と想いが命なんですね。そうでないと人を打って、そのうえ財布を開かそうなどという文章にはならない。

読者のお役立ちという考えは非常に大切で、これがないビジネス本は必要条件を満たしません。ですが、より大事なのは読者の共感だと改めて思いました。読者は共感して、気持ち良くなりたくて本を買うのです。

こういう観点で、自分のHPも含めて、書いているものを見直したいと思います。

反省するとともに今後のヒントをいただきました。

--

IT人財の育成なら株式会社ITブレークスルー