むかしむかしアフリカのあるサバンナの草原に、
いろいろな動物達が住んでいました。

ライオンやしまうま、ぞう、キリン、サイなど
いろいろな動物達が、水浴びをしたり、木登りをしたり、かけっこをしたり毎日楽しく暮らしていました。


ある日のことです。
ライオンくんは思いました。

ゾウくんの長い鼻はうらやましいなあ。
だってあの長い鼻を使って、シャワーみたいに水遊びができるんだもの。
僕にはあんな長い鼻は無い。
そう思って、少し悲しくなりました。


またある日のこと、ゾウくんは思いました。
しまうまくんの、あの体のシマシマはうらやましいなあ。

だってあのシマシマはとてもきれいで、カッコいいんだもの。
僕にはあんな体の模様はない。
そう思って、少し悲しくなりました。


別のまたある日のこと、しまうまくんは思いました。
キリンさんのあの長いくびはうらやましいなあ。
だってあの長いくびがあれば、高いところの食べ物が取れるんだもの。
そう思って、少し悲しくなりました。


ある夜のこと、
動物達はダンスパーティーをすることになりました。

ハチドリのみんなは、
みんなで華麗なダンスを踊ってくれました。

それを見たフクロウは、
ハチドリさん達はうらやましいなあ。

だって皆んなで合わせて華麗に踊れるんだもの、
とつぶやきました。

それを聞いていたハチドリ達は、
フクロウくんの目は、暗いところでもよくみえるじゃないか!きみのほうがうらやましいよ
と言いました。

フクロウくんは驚きました。そして言いました。

そうなの?他のみんなも暗いところでも良く見える眼を持っていると思っていたよ。この目がうらやましいの?
今まで僕にはみんなのように、個性のある素晴らしい何かがないと思っていて悲しかったんだ。

それを聞いていた、ライオンやしまうま、ゾウやキリンたちも話し始めました。僕は、ゾウくんの長い鼻がうらやましかったよ!
何を言っているんだい!ライオンくんの、いるだけでいげんのある姿は誰にも真似できない!
僕はシマウマの体の模様がカッコイイと思っていたんだ。
チーターさんの足の速さは、金メダルだよ!

それぞれみんなは、自分が持っていないものをうらやましいと思い、
自分とみんなを比べて悲しくなっていたのでした。
そして、自分の持っている才能に気付いていませんでした。

みんなは大笑いしました。
おかしなことをしていたからです。

もうこんなのはやめよう。
ぞうくんは言いました。
僕がみんなの背中にシャワーをかけてあげるから、シャワーを浴びたくなったら言ってよ!

キリンさんは言いました。
お腹が空いたら、僕に言ってよ!
僕は高いところの実をとるよ。

フクロウさんは言いました。
何か無くした物があるなら言ってよ!
暗いところでも僕の目は見えるんだから。

そうやって、動物達は自分のできる事で皆んなが喜ぶ事をやってあげました。

そうしたら、不思議な事ですが、
悲しい気持ちにならずに、みんなは幸せな気持ちになりました。

おしまい