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ゴルフ場探訪記 in 福島

震災と原発事故で大きな打撃を受けた福島県のゴルフ場、様々な歩みを体験リポートする。

新白河ゴルフ倶楽部


2015年11月24日


ゴルフ場探訪記をしばらく休んでいたが、再開することにした。

探訪記も残るのはあと10か所。

ゴールに向けて第4コーナーを回った。

今回、挑戦したのは白河市表郷にある新白河ゴルフ倶楽部。

1976年(昭和51年)に白河市表郷に開場した丘陵コースであ
コース1
る。


青空が顔を覗かせ、この季節にしては絶好の日和である。

好スコアへの期待を抱き、ティグランドの立つ。

ここで思い描くイメージはいつも「胸のすくような好スコア」だ。


コース4
このイメージがどこまで持続するのか。

これまで、何度も何度も、叩きのめされる結末を味わった。

しかし、それでも今日こそはと挑み続けるのである。

フェアウエーは比較的広い。ブラインドホールもあるが、そんなにプレッシャーを突き付けてくるようなコースではない。初めてのプレーだが圧迫感がないのがいい。

ただ、コースの途中に打ち込みを防止するための鐘があった。

叩いてみた。何となく物悲しい響きに聞こえた。

実は、この日、前も後ろもプレーヤーはいない。

び伸びとできる特権を得たが、ゴルフ場の経営は大丈夫かと思ってしまった。

しかし、フロントではそれなりの客が来ているということだった。

この地方のゴルフ場は競争が激しいだけに、人件費を抑えて経営を維持する姿が

読み取れる。


そんな中でもコースはよく整備されていた。

フェアウエーの刈込も手が入っていることを裏付ける。

特にグリーンは手入れが行き届いている。
巨匠

この日、巨匠は18ホール中13ホールをワンパットだ。

比較的グリーンが狭いとはいえ、不規則な転がりがない。

ボールの転がりは芝の管理の良さを感じさせる。


名人
名人もまた絶好調であった。バーディを2つ重ね、18ホール中7ホールをワンパット。

これまでの不振を振り切るかのような快進撃であった。

対照的なのが粋人、ティグラウンドで描いたイメージは出だしで失速。

アマチュアの弱点をすべてさらけ出す結果に終わった。


ホールを移動する途中に神社の参道があった。天神神社とある。
神社

コースができる前からあったという。

と言うことはこの神社を挟む格好でコースが作られたことになる。

ホールとホールの間に本格的な参道があることにいささか

驚いた。

ホールを移動する途中、カートに乗りながら手を合わせた。

ゴルフの神が微笑んでくれるのに期待を込めて・・・




カエル1
コースの中には奇妙なものがあった。

7番のロングホール、グリーンの手前のバンカー内の緑地にカエルの石像だ。

カエルは正座していた。

このカエル本来は仰向けになっているのだという。

ここでスコアがひっくり返るというジンクスがあるためだ。

だから「ひっくりカエル」ということに因んでいるらしい。

しかし、目に入ってきたのは正座するカエルである。

コースのスタッフが仰向けにしておいてもいつしかカエルは正座しているという。

プレーヤーがひっくり返るのが嫌で、ひっくり返ったカエルを正座させていくというのがもっぱらの説である。
カエル2

最終の18番ホール、この谷越えは圧巻である。

ミスヒットを一切許さない、そんな景観が目の前に迫ってくる。目の前の谷がとにかく広大だ。

ちょっとでも当たりが悪ければボールは谷底にという具合だ。

自信家には豪快なショットを披露するには格好の舞台である。

400ヤードを超えるミドルホール、しかも打ち上げ、挑戦意欲を掻き立てるのに十分なホールである。


全体的に戦略性の富んだコ
コース3


ースだ。

ゴルフの腕に自信のある人も、初心者にも楽しめるコースである。

ただ、施設は古さを感じさせる。クラブハウスの中は開場当時とほぼ変わっていないのだろう。

クラブハウスの中は少々くたびれた調度品が目に入ってくる。

しかし、開業時はリゾートと位置付けられていたゴルフ場である。

40年前、会員制リゾート施設を展開する葵地所グループの一員として誕生した。

近くにはリゾート施設「白河関の里」も造られ、ゴルフ場との相乗効果が期待されていた。

しかし、バブル崩壊後の景気の低迷で利用者が低迷、赤字体質に陥った。

2004年には運営を別会社に移したが、慢性的な赤字体質からの脱却を図ることができなかった。

このため、葵地所は2008年にシティグループにすべての事業を譲渡し、特別清算の処理を行った。

その後新白河ゴルフ倶楽部は、民事再生法の適用を受け、フライス(東京都)がスポンサー企業となって運営が継続されることになった。
コース2

平成22年には韓国の観光事業を行っているイーヒョングループが経営を引き継いだ。

新白河ゴルフ倶楽部の歩みは決して平たんではない。

それでもゴルフを楽しんで欲しいというメッセージは伝わってきた。

その姿勢は女性スタッフの笑顔によく表れていた。