猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース | ゴルフ場探訪記 in 福島

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震災と原発事故で大きな打撃を受けた福島県のゴルフ場、様々な歩みを体験リポートする。

猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース

2014年9月10日


猫魔ホテル猪苗代ゴルフコースはなだらかな丘陵地に展開する18ホールだ。自然の起伏を生かしたホールが多く、林でセパレートされた林間コースの趣がある。

ゆったりとした地形だが、コースは、メリハリを感じさせる。

キャッチフレーズには「フェアウエーにある微妙なアンジュレーションと巧みに配置されたバンカーや池は攻める意欲を掻き立てる」と書いてある。
コース2


このゴルフ場で気になったのは、ゴルフコースにホテルの名前を冠していることだ。

猫魔ホテル猪苗代ゴルフコースが開場したのは1998年(平成10年)である。
最初は緑営グループのゴルフ場だった。この時の名前は「猪苗代ゴルフ倶楽部」。

経営は緑営グループの「猪苗代高原リゾート」だった。

緑営グループはゴルフ場経営を目的に設立され、福島市の「福島カントリークラブ」など数々のゴルフ場を手がけ事業を拡大させていった。ゴルフ場経営では業界大手の地位を確立するまでになった。

しかし、景気の低迷と入場者の減少によって、次第に経営が苦しくなっていく。さらに預託金の返還が負担となり、経営が破綻。

2003年(平成15年)緑営グループは東京地裁に民事再生手続きを申請、猪苗代高原リゾートは緑営グループを離れて、翌年破産宣告をうけた。


コース1 この時、名乗りを挙げたのが埼玉県草加市の不動産業の「リベレステ」だった。

リベレステは2004年、塩の卸売業をしている関東塩業と子会社の「トータル情報センター」を設立、猪苗代ゴルフ倶楽部を買収した。


時を同じくして、リベレステはトータル情報センターを介して、裏磐梯にある「裏磐梯猫魔ホテル」を買収した。猫魔ホテルは東北の政商といわれた小針歴二率いるグループ会社の「日本ロイヤルクラブ」が開発した。

猫魔ホテルは客室の数324の巨大なリゾートホテルである。1992年に300億円をかけて完成した。

しかし、バブルの崩壊と、過大な投資に耐え切れず、倒産。2001年には営業停止に追い込まれた。
猫魔ホテル

そこでリべレステが登場、ゴルフ場とともに猫魔ホテルを買収して傘下に治めたのであった。

猫魔ホテルとゴルフ場がおなじ所有者になったことから、ゴルフ場の名称も「猫魔ホテル猪苗代ゴルフコース」に変えられた。

これが、ゴルフ場に猫魔ホテルの名前が冠せられることになった理由だ。

猫魔ホテルは現在、星野リゾートが運営している。ホテルの名称も「裏磐梯猫魔ホテル」から「裏磐梯ホテル」に変わった。


「猫魔ホテルゴルフコース」に一般的なゴルフ場のクラブハウスは期待できない。
クラブハウス

クラブハウスといっても2階建てのプレパブの建物だ。風呂はない。風呂に入りたい人は近くの中の沢温泉にということらしい。

シャワー設備だけはようやくついた。

実に質素である。


車で乗り付けると乗用カートが並んでいた。乗用カートにはスタート時間が大きく表示されている。

車からゴルフバッグを下すと、そのまま乗用カートに積み替えた。即座にスタートである。

このゴルフ場では家を出るとき、ゴルフできる服装で出かけることをお勧めしたい。着替えはなしである。


コースからは磐梯山や安達太良連邦を望むことができる。
コース2番

アウトの3番のショートホールは磐梯山を背負い、安達太良の荒々しい噴火の峰にめがけてショットする。手前には池、印象に残るホールだ。

名人はここでバーディ。

その勢いで続くロングホールでパー、ところが突如崩れるいつもの病気が出てしまった。

名人はグリーンのわが身を振り返って言った。

「打ってみて、初めて分かる、ラインかな」 しかし、この日は「打ってみても、分からぬ、ラインかな」という結果に終わった。

それでも「読んだラインで外し、読めないラインでカップイン」というのもある。ゴルフは実に奥が深い。
名人バーディ


巨匠はこの日波に乗れなかった。

秋のさわやかな高原のゴルフだったが

「天高く 叩くボールは ままならず」、スコアは伸びなかった。

しかし、メンタルの強さは折り紙つき。名人との闘いを制した。

ゴルフは腕3割、メンタルが7割だという。

ゴルフのスコアは、その時の気分や精神状態によって支配されるというのだ。それをゴルファーは往々にして腕10割と勘違いする。

それがまたゴルフの魅力でもある。


巨匠

このコースは戦略性もあり、景観も美しい。アプローチの練習ができる大きなコーナーもある。

しかし、そそくさとした感は否めない。

施設の面でもメンテナンスの面でもとりあえずゴルフが出来る条件を満たしているといった印象だ。

9時41分スタートだったがパターの練習グリーンは整備中で、グリーンの状況を確かめる練習さえできなかった。

そんな環境のせいかプレーをする人の中にもただ急いで回ることに情熱を燃やす2人組が闊歩する。

ゴルフ場に流れる全体のリズムがぎくしゃくしているように思えてならない。


ゴルフには、気持ちのゆとり、心のゆとり、時のゆとりが欲しいものだ。


コース3