『ワタノハスマイル 笑顔になったガレキたち』
犬飼とも+ワタノハキッズ著
青幻社 2013年

「ワタノハ」とは、なんぞや?
答えは、地名です。
宮城県石巻市(いしのまきし)にある、
渡波(わたのは)地区のこと。

2011年、東日本大震災による津波で
大きな被害が 出たところでもあります
あの地震から そろそろ10年が経とうとしてますが
宮城県民の心から あの日が消えたことは
一度もありません


さて


著者の 犬飼ともさん は
山形県寒河江市のご出身で
以前から 海岸の漂着物、ごみなどを
材料にした オブジェを制作していた方です

震災当時、隣県の惨状を報道で知り
自分に出来ることを…と考え、
渡波地区の子どもたちと一緒に
ガレキで オブジェを作る活動を始めます

この本は そんな渡波の子どもたちが
自由な発想で作った
作品の数々を集めた写真集なのです
(・∀・)

わたし この本のことを
知ったのが ごく最近でして…
発行から 年月も経ってしまい、
書店で手に入りにくくなってしまった

(・ω・;)
けど どうしても読みたくて!!
「地元のことだし 図書館に
あるんじゃないか?」と思って
探したら やっぱり図書館にありました~チョキ

よかった よかった(´ω`)

オブジェ制作に使われたのは、
津波で どこからか集まってきた
大量のガレキ。
そして接着のためのグルーガン、
自由な書きこみをするための油性マジック。

子どもたちは ガレキをくっつけ、
そこに 顔を描き入れていきます。
気付けば、ほとんどのオブジェが
笑顔のものばかりだったそうです。

住むところや おもちゃ、
家族、友達、ペット、大切なもの……
何もかもを 波に流された子どもたちが、
ガレキに新たな命を吹き込みました

その生命力、たくましさ
思わず くすりと笑ってしまう設定に
ほんの少し 震災の傷跡が
感じられることもある

うーん これは ぜひとも本で
見てほしいんですが…!\(・∀・)/


で、このオブジェたち
作って終わり!ではなく……

「ガレキ・オブジェ」の展覧会を
各地で開催し、
得られた収益の一部が
実際の災害ガレキ撤去、復興工事に
充てられたのです!

\(・∀・)/
す げ い ね

ガレキ撤去と言っても あの時
ほんと 右も左も 大量のガレキで
はんぱなかったからね!!!
その辺の道路工事とは わけがちがう

片付けるだけで とんでもない
莫大な費用がかかるわけですよガックリ
そのためのお金を
自分たちで稼ぐなんて…(;ω;)

うおーーーー!!!!
誰か 彼らに今すぐ
国民栄誉賞を与えるんだ…ッ!!!!



本の中では、兵庫県や北海道で
開催された展覧会の写真が
紹介されていました(・∀・)
なんか…しっかり 芸術作品の顔してるのよね


こういうの 悲劇的だとか
美談だとか あるいは偽善的とか
思われる方も いるかもしれません
わたしも最初は 本を開くのが怖かった

しかし ページをめくってみると
悲観的な要素って 全然なくて、
ワタノハスマイルという書名のとおり
見る人を笑顔にするパワーに 溢れていましたキラキラ


こういう オブジェ制作の手法
とくに 不要になった物で作ることを
美術用語では
「アサンブラージュ」と呼び

1960年代のイタリアで起こった、
アサンブラージュを含むムーブメントを
「アルテ・ポーヴェラ」と呼びますけれど
ま そういうゴタクは抜きにしても

例えば 現役のアーティストだけでなく
造形教育に関わる方々、
小学校や幼稚園の先生とか
絵画教室、工作ワークショップなど
やってらっしゃるような人にとって

この本に載ってるオブジェは
ものすごく インスピレーションを
与えてくれるんじゃないでしょうかグッド!

無邪気なようでいて 時に深淵
子どもの作るものって 不思議です



現在 手に入りにくい本ってことだけが
とにかく 歯がゆいんですけどねーーー
んんんんーーーー/(・∀・)\
全世界の人に読んでほしい勢いで、
しぐ この本 推したいんですよおおおお


Amazonだと 中古で買えるかな?

逆に 割高になっていたりして…

安くなってるの見かけたら チャンスですね