クラウン落選の後、いつもお世話になっている近所の整備工場(Sモータース)に、デルタⅢを持ち込んで、デルタの最後の車検の打合せをしていたとき、若い女性がデルタに近づいてきました。聞くと、今日Sモータースで買った新車が納車されるそうです。その女性は、自分の車が来るのを待つ間、デルタの外観や内装に真剣に見入っていました。そして、「これ、何ていう車ですか?」、「私、こんな素敵な車、見たことないです!」と言ってくれました。私は嬉しくて嬉しくて、デルタの買替えはやめておこうかと気持ちが揺れました…。

 

 

もう候補車が頭に浮かんできませんでした。

「もう一台スイフトスポーツを買おうか」などということも頭に浮かんだりしました。

そんなとき、奥さんから「日産は行ったの?」と聞かれました。

実は、最近一番興味があったのは、マイナーチェンジ直後のフェアレディZでした。

ベンツの後に、日産のディーラーにZのカタログをもらいに行き、話を聞いたのですが、その時には、すでに受注はストップしていて、再開の目処はたっていないとのことでした。

そして、受注停止前の納期は、4年から5年とのことでした…。

長過ぎます、納車時には60歳を越えてます。

それでフェアレディZは諦めました。その後、日産の車は検討していませんでした。

「そういえば、何か忘れているような気がする…」 そんな気がしました。

昭和のスーパーカーブームの中、フェラーリやランボルギーニの他に、日本には、小学生の私たちが憧れた国産車があったことを思い出しました。

そうです、「スカイライン」です。

 

その週末には、もう一度日産ディーラーを訪れていました。

ターゲットは、スカイライン400R。405馬力のスーパーセダンです。

日産には今、GT-Rというモンスターカーがありますが、私の世代のGT-Rは、〝スカイラインGT-R″です。外見は、シックで大人しく、心臓はレースカーに匹敵するエンジン、将に「羊の皮を被った狼」がスカイラインGT-Rでした。その現代版が400Rだと思います。

ところが、ディーラーには、スカイラインの試乗車どころか、実車さえありませんでした。また、売れていない車なので、営業担当者も現行のスカイラインについては、知識も情報も無いようでした。

後日、日産プリンスにも行ってみましたが、まったく同じような状況でした。

家に帰って、もらったカタログをよく読んでみると、このスカイラインには、エンジンをはじめ、足回りの他、他社にはない数多くの日産の最先端技術がつぎ込まれているようでした。

現行モデルであるV37の発売は、2014年なので、それからすでに9年経っていました。デザインや装備は1世代も2世代も昔の車です。でも価格は、様々な技術や高級装備が付いている分、けっこう高い設定になっています。希望オプションを付けて400Rを見積もってもらったところ、とんでもない値段になっていました…。

でも、私はもうデルタの替わりは、スカイライン400Rしかないだろうと思い、決めました。

これまでは、私が車を買い替えるときは、その時所有している車を手放してでも欲しいと思う車ができたときでした。でも今回は、気に入っていても古くなってきたデルタの維持に不安を感じるようになったためであり、デルタを手放してでも、このスカイラインが欲しかったという訳ではありませんでした。そんなこともあり、スカイラインには、あまり期待していませんでした。

納車の日がやってきて、ディーラーへスカイラインを迎えに行くときも、実車を目の前にしても、これまでのように「待ちに待った車」という感覚はあまりありませんでした。

それでも、ディーラー担当者の説明を一通り聞き、運転席に座りスタートボタンを押して、日産自慢のV6 3000ccツインターボが目を覚ますと、少し気分が高まりました。そして、ディーラーを出て、少し走ったとき、トヨタで試乗した新型クラウンとは全く違う滑らかなエンジンフィールと、それとは裏腹にカッチリしたスポーツカーの乗り心地を見せるアンバランスさに少し驚きました。

紀の川の堤防を数キロ走ってエンジンを温め、対岸の堤防道路に出て、少しだけ深くアクセルを踏み込んだ時、この車がスカイラインである理由が判りました。

エンジンはどこまでも静かで滑らかであるのに、見たことが無い勢いでタコメーターとスピードメーターの針が上がる、恐ろしいほどのパワーを秘めていることが判りました。

この車をちょっと見直しました。

 

でも、このスカイライン、メーカーである日産に対して言いたいことがあります。

それは。「製造クオリティが低すぎる!」ということです。

納車されてから見つかった不具合は、①ルームミラーのフレームがガタガタ。②ハンドルセンターのズレ。③トランクダンパー不調と、工場出荷時に点検したのかと言いたくなります。

こういうところは、メーカー努力で改善してもらいたいところです。

あと、ランチアのフラウレザーと比べては可哀そうかもしれませんが、シートの革の質感がイマイチです。社内の革の匂いもイマイチです。

 

現在、走行距離は4,000kmを超え、2回のオイル交換を終えたということで、走行モードを

〝SPORT″に切り替えて走ることがあるのですが、405馬力は想像以上のパワーで、走らせるのが楽しいのひと言です。ブレーキも停止の瞬間が少しきついですが、効き始めのタッチは良い感じです。そして、電子制御ステアリングのフィーリングとサスペンション性能も最高のひと言です。そのうえ、安全装備も十分です。

 

これから時間をかけて、このスカイラインの魅力を理解していきたいと思っています。

 

おわり