私にとって11台目の車は、購入当初からこのブログでも度々登場する、ミニ・ジョンクーパーS(SUツインキャブ)です。

クラシックミニ愛好家の間での通称は、ジョンクーパーです。

 

 

 

ミニといえば、クーパーという名前がすぐに出てきます。ミニのことを良く知らない人たちは、クラシックミニ全般を〝ミニクーパー″と呼びます。車のことに興味がある人は、ミニとミニ・クーパーが違うことと、ミニ・クーパーが、ミニのバリエーションの一つで、ミニのスポーツモデルあることはご存知かと思います。

私が自分にとっての11台目として手に入れた車は、このミニ・クーパーの中でも特別高性能なモデルであるジョンクーパーSです。

 

ミニは、その歴史の中で、高性能モデルに〝S″という符号を付けてきました(BMW MINIでもそのようです)。ミニの生産が始まってから、いつ、何台くらいこのSが付くモデルが生産されたのかについては、私は知りませんが、クラシックミニの歴史の中で、最後のSモデルが、ローバーミニ・ジョンクーパーSです。このジョンクーパーS(以後JCSと書きます)は、東京のミニ専門ショップである、ミニマルヤマが企画して、ジョン・クーパー氏の合意を得たうえで、ローバーの認証を取ったミニの正規モデルということです。(この話、実は丸山さんから、JCS誕生の経緯として、電話で直接聞かせていただきました!!)

JCSは、クラシックミニの生産終了までの間に、何百台か生産・販売されたようなのですが、そのうち、最初のロットだけが、キャブレターモデルになっています。このキャブレターモデルの総生産台数は、4、50台程度だということです。

そして、私のJCSは、その希少な1stロット1.3キャブレターモデルです。

 

JCSを手に入れる1年ほど前の休日、大手中古車屋の店頭に並んだ、ブリティッシュグリーンのクラシックミニを見掛けました。気になったので、Uターンして、店に立ち寄ってみました。

そのミニは、インジェクションATのケンジントン(ウッドパネルと白い本革シート)でした。内装もまぁまぁきれいで、走行は確か7万キロ台(ミニの場合は当てになりませんが)で、お約束通り軽いオイル漏れあり(笑)。エンジンは一発で始動しました。

価格は表示されていませんでした。

車のそばで眺めていると、店員が出てきて、「乗り出し50万円でどうですか?」とのことでした。

無理すればヘソクリで買えない金額ではありません。

腕を組んで考えていると、45万円、40万円と値段が下がっていきます。最終的には35万円になりました。価格は問題なかったのですが、保管場所の問題があったので、「検討します」と返事してその日は店を後にしました。

家に帰ってからは、そのミニのことばかり考えていました。

30年ほど前、就職してすぐに、職場の先輩から強引に押し付けられたイノチェンティ・ミニ・デ・トマゾ(愛車遍歴その3、4で紹介済み)での楽しかった体験を思い出しました。東京へ引っ越すことになり、デトミニを手放した時のことも思い出しました。その時は、「いつかまた生活が落ち着いたら、ミニを買おう…」そう思いながらデトミニを手放しました。

それから30年あまり経って、「今がその時なのかも知れない」と思いました。

「買おう!」

 

1週間後の土曜日、手付金を10万円用意して、再びあの中古車屋へ行きました。

が、あのミニが見当たりません。あの時の店員も見当たりません。

他の店員がやってきたので、グリーンのミニのことを尋ねました。

「あのミニですか?…、 売れました」

せめて商談中にしてもらっておいたら良かった…

でも、私はそんなにがっかりすることもありませんでした。

車との出会い、そしてオーナーになるかどうかは縁のものだと思っています。

売れてしまったということは、あのケンジントンとは、縁が無かったのでしょう。

 

この件があって、私のミニ熱が30年ぶりに再発しました。

「この先ずっと保有し、自分の運転免許返納後には、子供に引き継ぐ価値のある良いミニを、じっくり時間をかけて探そう!」(デトミニがあれば尚良し!)と思いました。

それからは、和歌山のミニのショップをチェックしたり、ネットで近場に出物が載ると見に出かけたりました。

シンプルなベーシックモデルにするか、メイフェアやケンジントンのようなおしゃれなモデルにするか、それともスポーツカーのクーパーか。また、扱いやすいインジェクションモデルか、アクセルレスポンスが楽しめるキャブレターモデルにするのか。ATかマニュアルか。いろいろ考えましたが、40年間、538万台生産されたというミニの、今の市場に出ているモデルは多種多様で、同じ仕様のものは2台とないこと、そして、仕様のターゲットを決めると、なかなか出会えず、購入までたどり着けないことが分かってきました。「車の購入は、縁のもの」という私の昔からの考え方に従うことに決めました。急いでいる訳ではないので、必死になって探すことはやめました。

 

そして、いつしか、私のミニ探しの熱も平熱に戻っていました。

 

つづく