かわいいアイツ
今日も僕はCDを聞きながら淡々と仕事をしていた。淡々と言いながらも段々と鬱になる仕事を。
正直この仕事は長く続けるものじゃない。さっさと金を貯めて辞めたいところだ。
そうだ。今日は遠回りして帰ろう。アイツに会う為に。
アイツとは以前、働き初めで電車賃が無く駅を丁度一駅分を歩く途中で歩いて帰る途中に出会った。
それから、歩いて帰る度にアイツに会って毎回たった5分程度だが楽しく過ごした。
今は収入も安定し、電車で帰る毎日になってからアイツに会って居ない。
前会った時は、喧嘩してしまったからな・・・。今日はお土産を買って行こう。
9時。颯爽とタイムカードを切り職場を出る。
途中コンビニでお土産を買っていき電車なら3分程の距離を10分程度歩いて帰る。
アイツに会う為に。
そこの曲がり角を曲がったらアイツに会える。
すこし駆け足になる自分に気付き、曲がり角の前でまず心を落ち着かせてからゆっくりと歩きだす。
しかし、アイツは居なかった。僕もそこでアイツを探そうとはしなかった。
呼べばきっとアイツはひょっこり現れるだろう。しかし敢えて立ち止まらずに帰った。
ここで立ち止まるのが負けたみたいで嫌だったからだ。素直じゃないな、と自分で思いつつ家路へ帰る。
明日はアイツに会えるかな