足し算より、引き算が人生には
重要である。
音楽、つまりBGMが一切無くて、
効果音だけで全編が構成されて、
低予算で風変わりな映画が、
その年の日本映画のトップを飾った。
アメリカでも上映されて人気を得た。
地味な映画だが、派手な評価を
得た珍作であると思う!
類をみない映画である。
森田芳光監督の傑作
家族ゲーム
1983年公開
低予算で、低ギャラなのに、
当時の映画スター、松田優作が
この役を引き受けたと言う異例作。
それも、殺し屋でも探偵でも
刑事でも無い役柄を。
森田芳光監督のデビュー作品
の・ようなもの
を観た優作さんが、森田と組みたいと
引き受けた作品であった。
三流大学の普通の男が、
中流家庭の家庭教師を引き受けて
落ちこぼれの息子を教育する
それだけの映画である。
暗く、地味で、起承転結も無い、
映画であるが、何故か世界観に導かれる。
当時はアクション映画の頂点を
極めた優作氏であった。
彼が拳銃を持ち、暴れるだけで
どの映画も大ヒットした。
だが、優作氏は普通の役を
やりたいと思う様になる。
大の大人が昼間からオモチャの拳銃を
撃つのはもうごめんだ!
拳銃の代わりに植物図鑑を持ち、
髪もバッサリ切り、
引き算の役をこなした。
派手に魅せる演技より、
地味に魅せる引き算の演技。
だが当時の優作氏は普通にお箸を
持ち、飯を食うだけの演技も
出来なかった。
普通の日常が欠落していたからである。
だが彼が演じた吉本という家庭教師は、
普通に見えて普通では無かった。
ある面、ジーパン刑事や工藤ちゃんや、
鳴海昌平より恐ろしかった。
得体の知れない話し方や風貌が
そう思わせる。
またホモなのか?普通の人なのか?
掴みどころが無い。
食卓を横並びで飯を食う!
お父さん役の伊丹十三氏も
いい味を出していた!
家族ゲームと言えば、
長渕剛主演のテレビドラマを
先に観ていた。
呑気でチャラい長渕剛氏の家庭教師も
良かったかも知れないが、
やはりこの松田優作氏の得体の知れない
家庭教師には敵わない。
賞とは無縁であった、優作氏が
初めてアカデミー主演男優賞を
取った。
勿論、作品含めて7部門に
ノミネートされた。
何故かロバート・デニーロみたいな
演技だった。
日本人の演技の枠を超えていた。
ただ少しトラウマになりそうな、
一度観たら癖になる様な
魔法みたいな映画であった。
ラストも未だに理解が出来ない。
これが新手の優作さん的な
ノワールであったのであろう。


