イラストレーター 安西水丸さんが日本中のちょっと渋い城下町を訪ねて、歴史に思いを馳せるエッセイ集。
「なまじっか復元された天守閣などない方がいい。わずかな石垣から漂う、敗者の美学のようなものがたまらない。人間の持つ、権力への憧れや恐怖心も城址から感じ取ることがある」。
独特なタッチのイラストレーションに添えられた文章は単なる日記やような軽いものではなくて、その土地の歴史を調べ尽くして、その土地の生きてきた証をキチンとまとめている。
書き出しの文章が好きだ。まるで優れた落語家のまくらのように、全く関係なさそうな個人的なお話から始まるのだが、気がつけばすっと本題に入っている。上手いなあ。
もっと読みたいなと思ったのだが、この文章は筆者が亡くなる年まで書き続けてきたものなので、おそらく続きは読まないだろう。そこは残念。
城好き、歴史好き、城下町好きにおすすめ。




