ムッチ先輩が彦摩呂になってる!
「不適切にもほどがある!」宮藤官九郎っぽいセリフ集 第8話
「写真撮ってくれよ、持ってんだろ? ツルっとしたの」
「好きな乗り物は?」
「せーの」
「バイク」
「ペアで揃えた」
「スニーカー! こえーよ」
「ドッペルゲンガーに遭遇した者の肉体は既に蝕まれて、やがて死が訪れる」
「嘘だ。俺どこも悪くねーよ」
「耳から血が出てるよ」
「あー!」
「なに! 東京でオリンピック! 3年前、くそ、観れねえ」
「キドセイラさんという、ストリート競技の選手を取材させていただき、SNSにDMを送らせていただき、「いいね!」させていただき、フォローしていただき、お食事させていただき、酔った彼女をホテルまで送らせていただき、その夜、しました」
「そこはさせていただかないのか!」
「えっ」
「させていただけよ。むしろそこは一番させていただいたところだろ」
「確かに初めての出張で舞い上がってしまい、2回戦させていただきました」
「回数は聞いてねーよ」
「浮気は男の甲斐性って、ヒロシ&キーボーも言ってますよ。モテない男が好きなら俺も考え直すぜ」
「バカ言ってんじゃないよ」
「不倫が悪いってことぐらいわかってるよ。けど、1回だよ。たった1度の過ちで3年も閑職に追いやる
なんて。権利濫用による不当な配置転換と過少要求。すなわち、パワーハラスメントに該当するんじゃないのかね」
「すごい!」
「カウンセラーっぽだろ。もう一遍言おうか」
「20日後だっけ? 倉持の謝罪会見」
「立って謝罪。座って謝罪。中腰で謝罪。斜に構えて謝罪」
「意見もみりゃれ」
「こたつにもほどがあるだろう」
「なあ、語尾がもう眠くなっちゃってるもんな」
「なあに」
「向こうでいいことあった?」
「なんで」
「だって。わかりやすくいい子になって帰って来た」
「別に。かわいい子でいた方が得だって気づいただけ」
「どういう意味?」
「スケバン、絶滅してた。そりゃそーだよね。あんなかっこして、タバコ吸って、唾吐いて、ガン飛ばして、喧嘩して、じれったい、じれったい、そんなの関係ねーって、どうかしてるもん。ツッパリって反抗の証だと思ってたけど、反抗って結局、甘えなんだよね。心から放っといて欲しかったら放っといても大丈夫そうな服着ればいいし、実際着たら(第7話の回想シーン)」
「放っとかれなかったんだな」
「ふふふ」
「そっか、やっぱりいいことあったんだ。良かったね」
「うん。楽しみ。年取るの嫌じゃなくなった。どんな人と知り合って、どんな仕事して、結婚するとかしないとかわかんないけど、全部楽しみたいから。今勉強するの」
「そうだよ。ツッパってる時間、もったいない」
「ほんとそう。1人1台電話持って、写真撮れて、音楽も聴けて、電車も乗れて。(パソコン見て)こういうのもあって、ポチってしたら欲しいもの家に届いて。最高じゃん! 不満がないからツッパリ絶滅したのかな」
「どうかな。不満はなくなってないと思うけど」
「まだ帰らないの?」
「今誹謗中傷と闘っている」
「今の時代、俺みたいな異物が混入してないとダメだと思うんだよな」
「異物」
「そう、不適切な奴。世の中が多少マシになって渚っちや秋津や倉持みたいな若い連中が幸せになるまで見届けねえとさ。昭和戻っても、あんな未来のために働きたくねえって思っちゃうでしょ」
「ディスコではサラダ食っちゃあ踊り、サラダ食っちゃあ踊り、うさぎか、高身長のうさぎかって感じなんだけど。ふかふかのソファ譲ってくれるし、私聞いたの、どうしてそんなことが自然にできるのって」
「父がそういう考え方の人間なんです」
「お父様が」
「父は料理が得意で、子どもの前でも平気でパパはママを愛してるんだって言える人で。それが自然で嫌味じゃなくて」
「なにそれ、板東英二じゃん、金妻の」
「今度、父に会ってください」
「えっ」
「パティオで食事しましょう」
「パティオって、金妻でしか見ないやつ。見た目がドンズバ、しかも中身が板東英二って、控えめに言って好物件だと思わない?」
「恰好ばっかり気にしてる男子って最低だよね」
「それで思い出したの。分かれた旦那がさ…」
「おばさん、離婚したことあるんだ」
「あ、ごめんね」
「え、なんで謝るの」
「僕がですか?」
「そう! 内面がハンサム過ぎる。見た目は板東英二よりなのに。メンタルが奥田英二なの! もっと謙虚に生きないと大人になって後悔するわよ」
「あの、おばさん」
「おばさん?」
「おばさんは時々僕に辛く当たるけど」
「そうだっけ?」
「まだ中学生なんで、お手柔らかにお願いします」
「井上」
「でも…言っていいのかな」
「言っちゃえよ」
「あの人たち、関係ないですよね」
「関係ないんだよ! 関係ないのにコメント書き込んでる連中と一緒。蒸し返して、騒いで、ついでに旦那にプレッシャーかけて」
「あの奥さんの勝ち誇ったような笑顔」
「じゃあ、デザート食べようか」
「怖かった!」
「なんですか?」
「キョンキョンですか?」
「はい」
「嘘だ」
「え、なんなんですか」
「だってキョンキョン、学年一緒だし」
「見て見て、あのおばさん、キョンキョンなのにキョンキョンじゃない」
「はあ、何言ってんだ、ほんとだキョンキョンなのにキョンキョンじゃない。マスター見て、キョンキョンなのに」
「なんなんですか! さっきから失礼過ぎる」
「キョンキョンのドッペルゲンガー!」
「劇団? 劇団かなんかの方?」