小川先生(阿部サダヲ)がますます絶好調!

「不適切にもほどがある!」宮藤官九郎っぽいセリフ集 第2話

「ごめんなさいね。こっちWi-Fi飛んでないから。ああでも試しにポケットWiFi持って脚立に登ってみたらそっちの声は聞こえるようになりました」

「お母さん、悪いんだけど、すぐ俺んち行ってくんない? 住所言うから」
「え? どうして?」
「娘がちょめちょめしちゃうんだ! あんたの倅と!」
「ちょめちょめ?」
「娘が小さい頃に録ったビデオがなぜかここにある。ってことは生徒から没収したエロビデオがデッキの中に入ってるんだ。女教師ものなんだ。あんなの見たらあんたんとこの盛りのついた猿がもっと猿になっちまう」

「キヨシ!」
「もしかしてお母さん? これですっかり自信なくしたみたい。(ビデオのタイトル「FUCK トゥ・ザ・フューチャー」愛田るる)」
「おっばいだけで良かったんだ。あんなの見せられたらバカになっちゃう。僕、バカになっちゃうよ!」

「野球部の練習終わりにバスに乗ったんだ。そしたらやけにスカートの短い女子高生が乗ってきて」
「これですか?」
「Bluetoothで音が飛ばせるイヤホンです」
「ブルートゥースで音が? 飛ぶ?」
「で、バスから降りたら?」
「ハイライトが520円で、あんたに会って、便所行ったらキョンキョンが40周年で、壁に穴が空いてて、穴の向こうが昭和で」
「過去からバスで来て、トイレから過去に戻ったってこと?」
「トイレが昭和と繋がってるの?」
「この間はね。だけどもう無理。帰れない。あんたがリフォームしちゃったから!」
「だって今時和式って。なんかすみません。え、私のせい?」
「どうしてまた来たんですか?」
「え、それは」
「こっちに忘れ物でも?」
「なんつーか、あんたのことが気になって」
「私?」
「そうあんた。泣いてたでしょ。この間」
「やっと寝たのこの子!」
「俺でよければ話聞いてやっても」

「で、どうします? こっちに戻る方法ご存知?」
「ご存知ないですね。あんた知ってんの? つーか、なんなのあのバス! 困るんだけど! 明日試合なんだけど」
「何やってる! なんなの昭和の女子高生! ちょっと目離したらすぐおっ始めようとすんのね。油断も隙もない」
「うるせーな、ヒステリックばばあ。いいじゃねーかよ、別に減るもんじゃねーし。もう経験済みなんだよー、今時バージンなんて流行んねーし。10代のうちに遊びまくって、クラリオンガールになるんだよ!」

「こんな感じで、基本正論しか言わない人なんですけど、ニューヨークの夜景が綺麗で、なんかいいこと言ってるような気がして、早く花嫁姿父に見せたいっていうのもあって、阪神淡路の年に母が死んじゃったんですね」
「阪神淡路?」
「ググるの。そういう時はこうやって」
「えーなにこれ! 1995年って9年後じゃん。こんなおっきい地震あるの?」
「2011年にもありますけど、東北で」

「夫は育児にも協力的で『1人で抱え込まないでね』『僕にできることがあったらなんでも言ってね』って、いつも声をかけてくれました」
「気持ち悪りぃ」

「メインMCの武者小路さんは風水とか占いにハマってるから、いつもカーテンを紫色に変えてるの」

「ここエコノミーでいいよ。この辺の若手はエコノミーで充分。ここからここまでエコノミー」
「けど、山崎育三郎さんはビジネスなんです。俺の方がキャリア上なのにってなりません?」
「そういう時は便を変えるの」
「あ、なるほど」
「ちょっとごめんね。お互い顔合わせなきゃわかんないから。自分がエコノミーならあいつもエコノミー、自分がビジネスならあいつはエコノミー、それが芸能人のメンタリティ」
「勉強になります」
「あとね。基準作っとくと楽だよ。あたしの場合、八嶋智人なんだけど」
「八嶋さんってあのメガネの?」
「そうそうそうそう。あの人さ、エコノミーでも文句言わなそうじゃん。でもビジネスだったら喜びそうでしょ」
「ですね」
「だから迷った時は八嶋より上か下かで決めて」

「1人で抱え込まないで、俺にできることがあったら」
「俺にできることって仰いますけど、お前に何ができるか、私お前じゃないからわかんないし、今このシチュエーションでお前に何ができるだろうって考えるミッション、新たに生まれてるし、そもそもお前にできることって、ほぼほぼ私にもできることで、お前にできて私にできないことなんて実際そんなないし、それが果たしてお前さんがやりたいことなのかっていう問題もあるよねー。お前にできること、お前さんに頼んで、嫌な顔された時の虚しさを考えたら!」
「1人で抱え込んだ方が楽ですよね」
「そーなのよ」
「ヤバい。もう笑うしかない」
「なんかわかんないけど、焼きうどん作っちゃった」
「なんで?」
「俺にできること、このぐらいしか」

「深刻だわ。働き方改革の皺寄せ、全部お姉さんが被ってる」

「その瞬間張りつめていた糸がぶつんと切れました。『この一杯のためにあたし今日一日がんばったんです。なのに、はー!』その勢いで会社に辞表、夫に離婚届を送りつけてやりました」
「なにやってんすか、小川さん」
「ごめん。まさかビール一杯で離婚するとは」

「渚ちゃんちどこ?」
「え、うち来るんですか?」
「大丈夫。何もしないから」
「何かしたら警察呼ぶけど」

「なんなんだよ、お前はよ。察しろ、少しは。そして消えろ」
「すいません。けど『女性に対して大丈夫、何もしないから』はアウトですよ」
「何が? 何もしないっつってなんかしちゃうのが男と女じゃん。で、翌朝『何もしないって言ったじゃん』っつって、モーニングコーヒー飲みながらニヤニヤすんじゃねーの」
「不同意猥褻罪ですね。合意がなければ全ての性行為は犯罪なんです」
「は? 部屋に上げた時点で合意みたいなもんだろ」
「そういう食い違いが起きないよう、弊社では性的同意アプリを推奨しています。QRコードを読み取ることで合意が成立するんです」
「要するになにかい? 『何もしないから泊めてー』っつって、『そんなこと言わないで何かしてくださいよ』『いいの?』『どうぞどうぞ』って女じゃないとちょめちょめできねーのか?」
「だからしません」
「しない? ちょめちょめしたくねーの? は、その歳で? お前何が楽しくて生きてんだ?」
「恋愛とかコスパ悪いんで」

「ママだよ。5年前に病気で死んだ」
「そうなんだ」
「ずっと入院してたし、覚悟できてたけど、親父がね、笑っちゃうぐらいダメになっちゃってさ、毎晩そこ座って泣いてて、だから今は私がグレて気を逸らしてやってる感じ?」

「もういい! わかんねーことばっか言いやがって、全然ついていけねーよ。あーあ、昭和に帰って『トゥナイト』見たい」
「ずっと娘さんと二人暮らしですか?」
「うん、女房と約束したからね。高校卒業するまでは変な虫がつかないように俺が見張るって。尻軽だけどバカじゃねえんだ」
「高校卒業するまでは一緒にいてあげてって、ママに頼まれたし、あたしがいないと親父ひとりぼっちでメソメソするだけだから」
「案外再婚でも考えてんじゃない」
「無理。絶対無理。50過ぎてこんなビデオ見てるようじゃ無理でしょ、再婚なんて、あの屁こきじじい、止まらないんだよ。屁で起きて、屁で押されてここまで歩いてくるんだよ、プップップッて」

「純子ちゃん。聞いて。キヨシもいらっしゃい」
「なーに、その深刻モード。死んだ? あいつ死んだの?」
「純子ちゃん、落ち着いて聞いて。
「うっそ、やだ、死因は? 心不全? 遺産入る? 全額もらえるよね?」
「生きてるの。ただこの世界にはいない」
「死んでんじゃん」
「死んでないのよ。違う世界で元気にしてるの」
「成仏できないんだ。地縛霊? だから深刻な顔してるの?」
「深刻な顔は生まれつき」
「宜保愛子? おばさん、宜保愛子なの?」
「宜保愛子じゃない! まさか宜保愛子じやないって叫ぶ日が来るとはね。シンプルに言うとお父さんは今、未来にいます。わかる? タイムトラベル」
「僕たち未来から来たんだ」
「2024年だから、今から38年後? 首都工業大学の井上昌和教授の研究チームとNASAが協力して、タイムマシンの第一号機が開発されました」
「昭和の路線バスを改造したんだ。これ、これ父さん」
「開発者なんです。試験走行が数回に渡ってうちうちで行なわれ、私たち親族も優先的に搭乗させてもらったのね。で、みんな無事帰還できたんだけど、キヨシが帰りたくないって。代わりに小川先生が何かの手違いで2024年に行ったきり戻れなくなったと。理解できた?」
「これ、テレビなんだ! うす、うすっ」
「そうだね。不思議だね。でももっと不思議なこと」
「ページも捲れる。面白れえ」
「こうすると、大きくなるよ」
「キヨシ!」
「うわ、鼻の穴丸見え!」
「毛まで見えてる」
「うわ」
「とにかく! お父さんが帰ってくるまで、私たちもここで暮らすことになりました」
「同棲。ヤダ、『翔んだカップル』みたい」
「部屋は別々ですよ」
「じやあ、お風呂入ろっか」
「うん!」
「うんじゃない!」

「ヤベエ、ムッチ先輩の幽霊自転車」
「ムッチ、でーす!」

「タイマン張ったらダチなんだぜ。バイ『Let'sダチ公』」
「先輩、よろしくしてくれてありがとうございます」
「よろしくの使い方、なんか気持ち悪いから勉強しろ。あと学ラン不良のフォーマルだからビシッと決めろ」

「今あなたにできること、なさそう」
「そんなことねーよ! あんたがいまして欲しいことが俺にできることだよ!」

「育児は女性って時代じゃない。ちょうど配信をメインに据えて活動拠点を海外に移そうと考えてたんだ。子育て先進国スウェーデンに移住する。まさとの将来のためにもそうするべきだ」
「嫌です! まさとは私が育てます」
「何でもかんでも1人で抱えようとしない」
「1人で抱えちゃダメかねえ!」
「働き方改革を推奨してるんです。今国をあげて」
「そもそも働き方ってなんだい!」
「知ってる人?」
「働き方って、ガムシャラと馬車馬以外にあるのかね」
「懐かしいねーおいくつ?」
「昭和10年生まれだから、88歳、米寿っす!」
「若く見えますね」

♪俺は高度成長期の申し子、
朝から晩まで働いて、
夢の中でも働いて、
ジジイになった気がした、米寿の夜〜

♪断りづらい空気、同調圧力、 
帰りづらい空気、同調圧力、
休みづらい空気、同調圧力、
強制じゃないと言いながら、
逆らえない空気 AIR、
もうやめよう、定時で帰ろう、
仕事はそっと持ち帰ろう、
無理して倒れるくらいなら、
定時で帰って、
横になろう

「気持ち悪りぃ」
「気持ち悪りぃ?」
「定時で帰るのは強制ですか? 冗談じゃない。働き方ぐらい自分で決めさせろ!」
「あんたは極論過ぎる。今の時代に合わない!」
「時代に合わせなきゃダメかねえ。昭和、昭和って、まるで昭和が悪みたいに言うけどさ、少なくとも景気は今より良かったぜ」
「ち、もうそれ言われちゃうとな」

♪4つのわがまま聞いて、聞いて欲しいの、

「ちあきなおみ?」

♪ひとつ、ひとりでやるから(やるから)、
ふたつシンプルに給料上げて、
みっつ、託児室は別館じゃなくて本館に設置して、
よっつ、ペーパーレス、急がないで

「わかるけど最近の若い子はタブレットで育ってるし、上層部はペーパーレスを推進してくれって」
「その上層部が対応できてない! 台本は紙でくれ! 映像資料はDVDに焼いてくれ! その度に私たちの仕事が増えるんです!」

♪いつつ、ランチは最低1時間保証して、
むっつ、シフトは仕事を覚えてからにして、
ななつ、タレントの楽屋挨拶はナシの方向で、
やっつ、やる気を削がないで

「多少残業になっても、部下の企画書を読む時間くらい作ってください。それぐらいの融通? 計らい? 遊びがないと面白いものなんか生まれません」
「そうやって例外を認めたら、いずれ過労死が出るんだよ!」
「社員のやる気を削ぐのが働き方改革ですか」

「あんたは正しいだけで心がない。離婚届を送りつけたのに、この期に及んで正論すか? あんたAIすか? 夫GPTなんすか?」

「海外ロケのV見ました。もう最高でした」
「(八嶋智人)マジで! 飛行機ビジネスだったからがんばっちゃいました!」

「しかし、いいのか俺で。今後も失言ばっかだぞ」
「コンプラ無視だから小川さんの言葉は刺さるんですよ」
「コンプラに染まり切った、うちら現代人にはね」

「まだまだ知らないことばっかり。もっと教えて渚ちゃん、今晩行ってもいい? 何もしないから」
「ダメです。それ以上はセクハラ」
「してもいいけど」

「あるな、これちょめちょめ、まいったな、どうする市郎、お父さんとご対面? いきなり? とりあえず、酒はセーブしよう。ってやるのか? いつぶり? なにぶり? いいのか? いいだろう。俺だって、たまにはドキドキしたいよ。電話してどうする? 純子に『お父さん、ちょめちょめしてもいいのかい』って聞くのか?」