タイムスリップにパワハラ、セクハラ、ちょめちょめ、そして突然のミュージカル。まだちゃんとついていけてる自信がないや。


「不適切にもほどがある!」宮藤官九郎っぽいセリフ集 第1話


「おい! 起きろブス! 盛りのついたメスゴリラ!」


「おっさん、今日何時に帰ってくんの?」
「おっさんって誰だ?」
「おめえだよ、ハゲ」
「もう一遍言ってみろ!」
「そこで納豆かき混ぜてる、チビで薄毛のおっさんだよ、ハゲ」
「もう一遍言ってみろって言われたら、もう一遍言えばいいんだよ、同じことを。ちょっと足すんじゃねーよ、毎回。傷つくわー。薄毛? どこだ?」

「男だろ」
「はあ」
「はあ、じゃねーよ。見え見えなんだよ。髪の毛くるっくる巻きやがって積み木くずしか! 男連れ込んでニャンニャンするのか」
「しねーよ」
「いいか。16 、17の男っつーのはほぼ猿。ほぼ猿なんだよ。一回覚えたら最後、一生メスのケツ追いかける習性なんだよ」

「デカすぎパイ先生は初体験はいつ?」
「たかすぎまいですぅ」

「♪名前さえ、知らないのに、お前に恋したのさー」
「ムッチ先輩!」
「ムッチでーす! どこのマブイスケかと思ったら純子じゃん」
「バイク買ったんですか? ムッチ先輩」
「CBX、『ハイティーン・ブギ』でマッチさんが乗ってたやつ」
「ってことは? 海辺に停めて、一瞬、マジにお前を抱くやつ?」
「かっちょいい!」

「お姉ちゃん、お姉ちゃん、うどん、うどん、耳からうどんが垂れてますよ」

「おかしーだろ、この状況。姉ちゃんの方がよっぽど危ないよ。耳からうどん垂らして、パンツ見えそうなスカート履いてさ。痴漢してくださいって言ってるようなもんだぜ」
「はあ」
「触られても文句言えねえよ」
「なんてこと言うんだ!」
「セクハラ! 信じられない!」

「あ、いかん! 純子がニャンニャンしてしまう!」

「やっぱ付き合うなら年上だよね」
「PLの清原くんは?」
「昭和42年生まれだから2こ上、桑田くんは早生まれだから1こ上」
「桑田嫌い。清原くんはかわいいよね。八重歯が」
「あの子は? ほら、癖っ毛の『翔んだカップル』に出てた癖っ毛の」
「鶴見辰吾」
「も癖っ毛だけど、もう1人いるじゃん、癖っ毛の。『ねらわれた学園』とか『時をかける少女』にも出てた癖っ毛の」
「篠山紀信?」
「も癖っ毛だけど」
「和田勉」
「もう癖っ毛しか」
「尾美としのり」
「そうー!」
「尾美としのりさん、昭和40年生まれ、ハタチです。僕と付き合ってください」
「はあ!」

「責任取れよ。純子がニャンニャンしたらテメーのせいだからな」
「ニャンニャン?」
「ん、ん、ちょめちょめのことだよ!」

「03」
「今から家来てもいいけど」
「よしなよ、純子」
「すぐ近くだし親いないから、ニャンニャンしたい?」

「純子がちょめちょめちょめ純子がしちゃう。ちょめちょめちょめしちゃう」

「なんなんです」
「あ、ごめん、喉乾いちゃって」
「この1杯のために私今日1日がんばったんです! なのにはあ!! 乳幼児の母親はビールの1杯も飲んじゃいけないんですか! 区役所でボロカス言われて、弁護士にボロカス言われて!!」
「だから謝ってんじゃん」
「えーん!」
「やっと寝たのこの子今! やっと寝てやっと静かになってやっと一息つけたと思ったのに。なんなんです!」
「泣くことねーだろー。たかがビール1杯で。まあ姉ちゃん、まあまあ1杯」
「結構です。お会計お願いします」
「それ! なんなの? ツルッとしたの。みんな持ってるけどさ、流行ってんの?」

「なんでてめーが上なんだよ!」
「じじいノックぐらいしろよ!」
「このやろー!」
「離せよ!」
「黙れメスブタ、パンツ履け!」
「まだ脱いでねーよ」
「脱ぐ気満々じゃねーか。上になりやがって、上になりやがって」
「さっきまでは僕が上だったんです」
「聞いてねーわ、誰だてめえ、中学生じゃないか」
「はい。キヨシです」
「どこのキヨシだ」

「なあ、純子のどこが好きなんだよ」
「顔と体」
「なーにー! もう一遍言ってみろ!」
「顔と体!」
「もう一遍言いやがったな、おい!」
「だって一目惚れだから」
「キヨシくん逃げよう!」
「待てコラ、メスゴリラ! 来いコラ。お前みたいなアバズレ女の末路はな、ビニ本かノーパン喫茶だ」
「黙れじじい、それでも親かよ」
「いいからパンツ履け!」
「履いてるよ!」
「履いてる? 見してみろ!」
「見せるわけねーじゃん、バカ!」

「よろしくね、キヨシくん。ここ君の席。温めておいたから」

「終わったなキヨシ。終わりだよ、お前の青春。地獄で小川に会っちゃったもんな。シシシシ」

「コラ、コラ、立て猿! ちょめちょめしてーか! ああ。ちょめちょめしてーのか!」
「はい!」
「なーにがはいだ、髪切れ! 明日までに坊主にして来い!」

「男のくせにと仰ったそうね」
「仰いました。正確には男のくせに女の腐ったようなモヤシ野郎め、キンタマついてんのかと」
「信じらんない」

「愛のムチなら何言ってもいいと思ってるんですか」
「わかったよ、いちいちうるせーな。今度から黙って殴るよ」
「殴ったんですか!」
「急所は外したよ。わきまえてるよちゃんと。こちとら教育のプロだよ」
「愛のムチですよね」
「ちょっと黙ってて」
「何ピリピリしてんの。更年期? 欲求不満? 旦那がかまってくれない族ですか?」
「ここまでか。昭和の教育現場。まさかここまでとは。怒り通り越して逆に興味深い!」
「向坂さんは社会学者なんですよね」
「ああ、インテリだからかさついてんのか」

「知りたい。あの薄くてツルッとしたのの正体。新商品なら『11PM』か『トゥナイト』で紹介するはずだ」
「おっさん、何時に寝んの?」
「お前は。何時に帰って来て、何時に寝るかしかおれに興味ないのか。なんだと思ってんだおれを」
「薄汚ねえ貯金箱」

「ノーマルじゃねーかよ。AXIAのクロームかメタルテープって言ったよね。先輩に渡すからいい音で録りたいの。ノーマルは嫌なの。取っ替えて来て」
「音なんか関係ねーよ。どうせシブがき隊とかだろ。いいからセーラーズ着てみなよ」
「これどこで買ったの?」
「錦糸町?」
「はあ。セーラーズは渋谷でしか売ってないの。錦糸町までは来てないの。よく見ろじじい!」
「セイヤーズ(SAYERS)、あ、セイヤーズだくそ、偽物? やられた!」
「いらない返して来て」
「いや、かっこいいだろ、むしろ。セイヤーズ!ってこんなの誰も着てねーぞ」

「誰だ! そのカマキリのメスみたいな貧相なチンピラは! 4丁目のキヨシと全然違うじゃねーか。ちょめちょめできれば誰でもいいのか! おい!」

「好きな子ができた」
「は?」
「だからもうちょっといたい。ごめん」
「待ちなさい! キヨシ! キヨシ!」
「離して」
「好きな子って誰? 何どこで」
「離せよばばあ! 令和になんか帰りたくない。昭和がいいんだ」
「どうして! こんな時代のどこがいいのよ! 粗暴で差別的でセンスのない大人ばっかりの」
「テレビでおっぱいが見れるじゃないか!」
「どうしちゃったのよ」
「テレビでおっぱいが見たいんだ。地上波でおっぱいが見たいんだ。見たいんだ!」
「どうもすいません」
「わかってる。どうかしてる。だから放っといて。…。ばばあは言い過ぎました。ごめんなさい」

「人気だね、炙りしめ鯖。注文しよっか」

「君がどんなつもりでも相手が不快になったらそれはもうハラなんだよ」
「こういう時代だから。褒める時も言葉選ばないとね」
「どういう時代?」
「はい?」
「こういう時代って聞くの、あんたで4人目なんだ。オープンからここで飲んでんだけどね」
「炙りしめ鯖お持ちしました!」
「うそ! まだ1杯しか飲んでないよ。さっきからレモンサワーお代わり頼んでんだけど、炙りしめ鯖ばっか来んだよ。なんかしたかおれ!」

「景気が悪いのはなんとなくわかるよ。バイトの時給上がってないしね」
「炙りしめ鯖、200個入ってますね」
「はははは! いっそ殺してくれ! で、どういう時代?」
「多様性の時代です。結婚だけが幸せじゃないっていう」
「はあ。で、がんばれって言われたら1ヵ月会社休んでいい時代?」
「すいません。こっちの話なんでお構いなく」

「やっぱ音が違う。メタルテープ最高!」
「ねえ、ムッチ先輩、なんか気づかない?」
「なんだよ」
「もう。ちゃんと見て」
「わかんねーよ」
「前髪、『DESIRE』の明菜イメージしたんだけど」
「明菜より普通に井森美幸が好き」
「ねえミルクティーが良かった?」
「苦くねーよ」
「純子。お前子ども欲しいか?」
「え! わかんないよ、まだ、そんなの」
「男の子が生まれたら喧嘩なら負けない怖いもの知らずに育てるから」
「それって最高じゃん」
「お前が望むならつっぱりもやめる。だから純子。未来をおれにくれないか」

「がんばれって言われて会社休んだ部下が同情されてさ、がんばれって言った彼が責められるってなんか間違ってないかい? だったら彼はなんで言えば良かったの?」
「何も言わなきゃ良かったんです。何も言わずに見守って、上手くいったらプレッシャーを感じない程度に褒めてあげる。ミスしても決して責めない。寄り添って一緒に原因を考えてあげれば彼女の心は折れなかった」
「気持ち悪りぃ」
「はい?」
「なんだよ。寄り添うって、ムツゴロウかよ。そんなんだから時給上がんねえし、景気悪いんじゃねーの? 挙げ句の果てにロボットに仕事取られてさ」
「炙りベーコンお持ちしました」
「ロボットはミスしても心折れないもんな」
「すいません、あれ?」
「冗談じゃねー! こんな未来のためにこんな時代にするためにおれたちがんばって働いてるわけじゃねーよ。期待して、期待に応えてさ、叱られて励まされてがんばって、そうやって関わり合って強くなるのが人間じゃねえの」
「今時根性論」
「メンタムだかなんだか知んねーけど、がんばれって言われたぐらいで挫けちゃうようじゃどっちみち続かねーよ」
「そういう発言が今一番まずいの」
「そういう発言が今一番まずいのって、ヒステリックに叫んで話終わらすのはいいの? なにハラだからにはなんないの?」
「あなたならどうします?」
「相手すんなって秋津」
「おれなら。そうね。ミスしたらケツバット」
「上手くできたら?」
「胴上げよ」
「いいですね」
「出よう」
「もっと話し合いませんか」
「話してもラチあかないよ、こんなおっさんと」
「♪話し合いましょう。たとえわかりあえなくても」
「おい! どした」
「♪話し合いましょう。こんなおっさんだからこそ。ロボットじゃない僕たちだから出来ること。それは話し合い」
「どした。どうしました」
「パワハラに気をつけて目をかけていた後輩が去年会社を辞めました。コンビニ行くって出て行ってユーチューバーになりました。ふざけやがって、ふざけやがって、ふざけやがって、バカやろー!」
「植木等? 違う? なんなの?」

「♪だから話し合いましょう」
「♪炙りしめ鯖」

「♪そうね、いつだって君は正しい」
「え、あんたも?」
「♪だけど正しいことが正しいとは限らないわ」
「♪それが組織」
「♪どんな組織も振りかざしたら圧になる」
「♪それが組織」
「♪だから主張しない。期待もしない。今年で入社13年目、メンタルとっくに死んでます」

「♪話し合いましょう」
「♪炙りしめ鯖」
「♪話し合わないわ」
「♪それが組織」

「♪話し合わないのなら殴り合えばいい。拳と拳で語り合えばいい!」

「結婚だけが幸せじゃないってあんた言ったけど、じゃあ結婚しました、幸せですって言っちゃいけないってこと? おれは幸せだったよ。かみさんと結婚した時、娘が生まれた時、叫びたいほど幸せだったよ」 

「♪我慢しなくていいだろう。幸せだって言いづらい社会。なんかおかしくないかい?」
「♪それが多様性」

「♪話し合いましょう」
「♪拳と拳で」
「♪話し合いましょう」
「♪拳と拳で」
「♪たとえ分かり合えなくても、話し合ったという履歴は残る」

「叱ったらそれはパワハラになるじゃないか。だから怖くて叱れない」
「♪それが組織」
「それでも叱って欲しかったんです」
「本当に。本当に叱っていいの」
「秋津さんに」
「だよね。どうぞ」
「ないよ、叱るところなんか。君は今のままでいい」
「ごめんなさい。構って欲しかっただけかもしれません」
「それは言ってくれないとわからない」
「♪話し合えて良かった」
「♪話し合えて良かった」
「♪話し合えて良かった」

「あの」
「ごめん、金持ってない」
「払っときます」
「助かる。急がないと娘がちょめちょめしちゃうから」

「信じないと思うけど、おれ昭和61年から来たんだ」
「え、何言ってるんですか?」
「タイムストリップだよ。知らない? 映画、バックトゥザなんとかって、38年前から来ました。つまりあんたら未来人」
「頭おかしい?」
「六中の体育教師で野球部の顧問。地獄の小川って呼ばれてる。これは教え子の落とし物。ごめん、また今度。娘がちょめちょめしちゃうから」

「キョンキョンは?」
「キョンキョン?」
「便所、洋式になってる」
「ああ、そう、業者に頼んで今日ウォシュレット入れたの」
「今日! なんで?」
「なんでって、今時和式ってあり得ないし、マスター痔が悪いって言うから」
「何してくれてんだ、ブス!」
「はあ?」
「ちょめちょめしちゃう。娘がちょめちょめ」