何度見ても儚くて脆くて切ない。
でもそこがいい。
「どん底に落ちても人生終わりとちゃうど、落ちても人生続くど。人生はなかなか終わってくれんど」
「人に信じてもらえないのってすげー恐怖」
「生きていれば最悪の日もある。されど最高の日もある。それが人生」
「吸血鬼ってさ、本当にいるのかしらね」
「いないと思います」
「いるわけないか。でもさ地球上に1人でも信じる人がいれば、吸血鬼はいるような気がする。本当だから信じるんじゃなくて、信じるから本当になるっていうの。わかる? 誰も信じなくなったその日、吸血鬼は本当にこの世から消えてしまうんじゃないかしら」
「うちじゃあ代々このぬかみそん中に見たくなかったものを入れて封印しちゃうの。で、見なかったことにしちゃうわけ。ぬかみそわけてやっからこん中になんでも入れちまいな。まあ、何十年かして掘り出したらそん時は必ず笑って見れるからよ」
「信じればどんなことも解決できる。一緒に信じてください」
「誰にも信じてもらえなくていい。ただこいつらにだけは信じてもらいたい。今もこの先もずっと」
第9話
「我慢したりさ辛抱したりしてるから人に優しくできない嫌な人間ができんじゃないの」
「おれん中では修二と野ブタは一番なの。おれ自身は二番なの」
「すっごい嘘つき。誰だって自分が一番がいいに決まってるじゃない」
「嘘じゃないよ。楽しいのが大事でしょ。だからおれはそっちを取ったの。つーかさ根本的にやり方間違ってない? 人は試すもんじゃないよ」
「試すもんじゃないなら、なにするものなの」
「育てるもんだよ。愛を持って」
「焼き栗。あったかいでしょう」
「ずっと嘘つかれたまま仲良くしてた方が良かった? 私も本当のこと知って良かった。嘘つかれるの寂しいもんね」
「でも、ずっと嘘ついてるのも寂しいかも」
「そうかもね」
「今こうしておれの言ってる言葉がみんなに届いてないと思うと怖いです。死ぬほど怖いです」
「なぜ4人が同じ夢を見たのか未だにわからない」
「先生は取り返しのつかない場所に行ったことありますか」
「うん、あるわね」
「1人で戻ってきたんですか」
「ううん、友達だね」
「そうですか」
「友達が連れ戻してくれた」
「人を助けられるのは人だけなのかもしれない」
「誰かがいれば取り返しのつかない場所からでも戻って来れる。ここにいる限り、おれは道に迷うことはないだろう」
第10話
「なんでおれのこと名前で呼ばないの♪」
「もうすぐ別れてしまうのに仲良くなったって哀しいだけだ」
「おれじゃダメなの。修二は修二じゃなきゃダメなの。修二の代わりなんて誰もできないんだから」
「そんな無茶言うなよ。おれだってさ、引っ越したくないよ。ずっと一緒にいたいよ」
「なんでもっと自分のことを大事にしないの」
「誰かのためにっていうのはさ、自分を大事にしてないってことなのかな」
「いいよ、虐められても。蒼井さんの意地悪、全部私が受け止める。受け止めてみせるから」
「お前の悪いところは全てのゲームに勝とうとするところだな。さしずめ(エース)これだ。でも2が一番強いゲームもある。自分が勝てるところで勝負すればいい」
「ああ、桐谷くん、君転校するんだって」
「いろいろお世話になりました」
「じゃあね君、これでなんでも好きなものを食べなさい(割り箸出す)」
「ちょうどよかった(と教頭が人形を1体ずつくれる)」
「なんですかこれ」
「あげる。これね、ふたつ集めると幸せになれるらしいよ」
「幸せになれるんだったら先生そのまま持っとけばいいじゃん」
「幸せわけてくれるんですか」
「1個ずつだから今は幸せの種みたいなもんね。あとはあなたたちの運と努力で増やして幸せになって、その幸せを人にもあげられる大人になってください。がんばって!」
「おれさ、なんか今まで人を好きになるっていうのがイマイチちょっとわかんなかったんだけどさ、なんか野ブタのおかげでわかった気がする。なんか一緒にものを食べて楽しかったりとか、同じ景色を見てわーこの景色一生忘れねえんだろうなってと思ったりとか、なんか死ぬほど笑ったりさ、時には心配とかもしちゃったりして、あと、もっと一緒にいたいなーって思ったりさ、なんか人を好きになるって、そういうささやかなことだったんだなあって、うん、この先、もしおれが誰かを好きになるたびに野ブタのこと思い出すと思う。なんか全部野ブタが教えてくれたんだなあって、思い出すと思う。小谷! ありがとな」
「で、私の方こそ、ありがとう。としか言えないのが悔しい。今、思ってること、全部伝わればいいのに。どれだけ感謝しているかちゃんと伝わればいいのに」
「わかってるよ。うん、なんかおれも同じだし」
「おれってバカだよな。いっぱい時間あったのにさ。まり子と楽しもうと思えばさ、いくらでも楽しめたのになあって」
「そんなこと思ってくれてたんだ」
「今度会う時はさ、もっとましな人間になってるつもりだから」
「(修二の作った弁当)美味しい」
「本当に美味しい?」
「うん、きっと忘れないと思うよ。この味」
「あ、ねえ、ブロッコリーシュウマイならぬ、おれが考えたんだけどさ、ズッキーニエビすり身」
「学校で最後に見たのはまり子と野ブタが楽しそうにしている風景だった。それはなんだかとても、とても幸せな気持ちにしてくれた。おれと彰は明日もあるように別れてお互い一度も振り返らなかった」
「ほら、見送りに行くんだろうが」
「行きたくないぜ♪」
「苦しいからって逃げてどうすんだよ。修二と会ったことも全部なかったことにすんのか、うん? 苦しいことを投げ出すってことはさ、楽しかったことも全部投げ出すってことなんだぞ。いいのか?」
「なかったことになんてできない、よ!」
「じゃあ最後まで見届けろよ。な!」
「最後まで生き残ってゲームを心ゆくまで楽しんだやつが勝ち。この世は多分そういうルールだ。今度の桐谷修二はなにがあっても挫折しない」
「(空を見上げて)私、笑えるようになったよ。ちゃんと笑えるようになったよ」
「おれたちはどこででも生きていける」
