おせっかいなかっこいいおじさま(ここは大物俳優)と若者の訳ありの関係。そして独り言に相槌打つみたいな独特の台詞の応酬。


山田太一の新作が観られる幸せを噛み締めていた。

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「ナイフの行方」
脚本:山田太一
出演:松本幸四郎、今井翼、相武紗季、津川雅彦、松坂慶子

前編
「憐れむな。自分を憐れむやつを見たくない」
「強いのが自慢らしいけど自分を憐れむとやっと生きてられる時もあるんです」

「薬を飲めば治るんじゃつまらないだろう。この世に絶望した青年を老いた私が叱咤して希望を持たせるように接触したのに、薬を飲めば治るじゃ世話ないよ」
「その青年が病気かどうかはわかりません」
「そう、わからない」
「はい」
「いや、わからないのは私だ」
「はい」
「私ごときがどうやって青年を叱りつけて、この世は素晴らしい、生きるに値すると励ませるというんだ!」

後編
「楽しかったのに電話もしないんですか」
「そう、私の欠点だね」
「根本さんらしいって言ってました」
「そう、私はね、楽しければ楽しいほど間を置きたくなるんだ。楽しかったからまた会おう、楽しかったから毎週会おうというように盛りあがとね。こう、楽しさが汚れていくような気がしてしまうんだ」
「それで会わなかったらつまらないじゃないですか」
「そうだね。まあ無駄な私の我慢だろうが、そんな我慢が嫌じゃないんだ」
「あんな人がいるんならみどりちゃんとママのことでおれにヤキモチなんかやくことないですよ」
「その話は別だ。私には子供がいなかったから、あんたの方がモテると悔しいんだ」
「そうやっておれに力をつけてくれるのは嬉しいけど」
「そんなこと考えちゃいない。ただ悔しいんだ」

「誰だって言えないことを抱えて別の話をしてる」

「あなた以外の人間だってね。言いたくないことはあるのよ」
「ああ、そうか、へへ」
「初めて知った?」
「ああ」
「ばかやろう」

「人間ってわからないまんまだから勘弁してよって感じだった」

「みんなが人間を信じ過ぎているように思えてならない。のん気過ぎるように思えてならない」