「赤い指」「新参者」「麒麟の翼」と読んで来ちゃったんだけど、やっぱり遡ることにした。
加賀恭一郎シリーズの第一作「卒業」。単行本になったのは昭和61年だそうなので、もう28年も続いているのか。
加賀恭一郎はまだ大学生。警察官を進路と決める前。父親との関係もまだ断絶という感じではない。
「ある学者の言葉だけどさ、あることを証明しようとする時、可能だということを証明するのより、不可能だということを証明する方がはるかに困難なのだそうだ。その意見、俺も同感だね」
「推理にはまちがいがない。何度も試行錯誤し、一本の筋が見えてきたのだ。それは加賀自身も信じたくはない内容ではあったが、もはや信じざるをえない状態にきていた。真実を追求することにどれだけの意味があるか。真実にはそれほどの価値はないのかもしれない。価値ある嘘というものも、あるいは存在するのかもしれない。だが加賀はこのままには出来なかった。友人の仇を取る、というのではない。理屈抜きに真実を知りたい、というのとも違う。まして正義感などというものは、最もふさわしくない言葉だった。強いて言えば、これが自分たちの卒業の儀式なのだと加賀は思った。長い時間をかけて、いずれ壊れてしまう積木を組み立ててきたのではあれば、それを壊してしまってこそ、自分たちが生きたひとつの時代を完成させることができる」
タイトルの卒業には恋人や大切な仲間との別れと旅立ちの意味が込められているんだけど…これ以上は書けない。
卒業 (講談社文庫)/東野 圭吾

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