新藤兼人監督がお亡くなりになった。
100歳。こういう時、一般的には大往生と言うんだろう。
10年ぐらい前に一度取材したことがある。
アマチュアが作ったあるドキュメンタリービデオについて話を聞かせてもらったのだが、もう話し始めたら止まらない。
「アマチュアじゃなくちゃ撮れない世界もある」と繰り返し言っていた。
時間とお金を注ぎ込んで作品を作り、しかも対価をもらわない作家へのリスペクトというか。
自身も自主映画に近い形で作品を発表し続けていたこともあってか、アマチュアの作家に対しても、真摯に向き合い、そのスタンスを尊重していた。
大監督だとふんぞり返ってもみんな奉っただろうに、すごい人だ。
あの人に声をかけられた作家は一生忘れないだろうな。
自ら脚本を書き、それを演出して、映画を作る。
これを最後の最後までやり続けた人。
最後にその姿をお見かけしたのは今年の2月。
キネマ旬報の表彰式だった。
かくしゃくとしたお姿ではなく、ちょっとろれつがまわらない感じではあったが、乙羽信子さんそっくりの親戚の人と、ちょっととぼけたやり取りをして会場を盛り上げていた。
「引退します。みなさん、さようなら」
これが最後のひと言だった。
かっこいいなあ。
ご冥福をお祈りします。
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