市川崑監督が亡くなった…
独特の様式美といくつになっても変わらない
エネルギッシュな演出が好きだった。
追悼番組としてTBSで放送されていた「犬神家の一族」。
スクリーンで観て、DVDも持ってるのにテレビ放送も観てしまった。
ディテールにこだわる市川崑監督が徹底的に作りこんだ
横溝正史の世界がなんだか懐かしい。
しかも旧作のファンを喜ばせる仕掛けもあるし、
改めて観てもミステリーの常套句もきちっと守っている。
「よし、わかった!」でおなじみの加藤武が署長役。
あいかわらずの早とちりでこういう笑いも嬉しい。
大ベテランから渋い脇役、若手女優まで、
これだけのキャストを揃えた群像劇をきちっと撮れる
映画監督って今、世界にもなかなかいないよ。
特に女優はたくさん出ている。
松嶋菜々子
冨司純子
松坂慶子
萬田久子
奥菜 恵
深田恭子
草笛光子
中村玉緒
それぞれみんないいんだよ。
深田恭子も富豪刑事っぽい雰囲気で良かった。
一人あげるなら冨司純子!
犬神家の長女、松子役。
1976年度版の高峰美枝子が「強い業」だとするなら
2006年度版の富司純子「あふれる情」という感じ。
金田一耕助は30年前と同じ、石坂浩二。
正直、ブランクと年齢が心配だった。
10年前に豊川悦司で「八つ墓村」撮ってるし、
今撮るならトヨエツでいいんじゃないかとも。
でも。なんの違和感もなく観られた。
やっぱり当たり役ってあると思う。
むしろここからまたシリーズが始まるかのような新鮮さがあった。
うん、そうそうこういうお正月映画、昔はちゃんとあったんだよ。
これが老練の監督が作った遺作とは
思えないほどパワーがみなぎっている。
「もしかしたら金田一シリーズをすべて撮り直すつもりだったんじゃ」
なーんてことを想いながら観た最後の作品だった。
劇団☆新感線の舞台用に「犬顔家の一族」を書き下ろした
宮藤官九郎が雑誌「シアターガイド」でこんなことを話していた。
金田一耕助は「僕がもう少し早く解決していれば…」
と言いながら実際には何ひとつ未然に事件を防げない
言われてみれば確かに今回も真犯人は見つけたけど、
なにひとつ事件を防ぐことはできなかった。
いつも後手後手、でもそこが面白いのかもしれない。
石坂浩二はもう金田一耕助をやらないだろう。
そういう意味では最期の金田一耕助だったんだな。
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