知ってるけど、よく知らない男性が出てきた。

彼のことで知ってることといえば、姿と名字くらい。


で、なぜか彼が「お嫁さんになって」って言ってきて
特に嫌じゃないと感じたから、OKした。

でも私は、後になってこれを後悔することになるんだ。



ある日、公民館みたいな場所で行われた集まりに参加した。

前にたぶんステージらしき物があって
それに向かって椅子がいくつも並べてある感じ。

その中に、小・中学校の同級生だった、非常に頭の良かった女子もいた。
彼女が、どんな人間が苦手かを発言したのだけど
その彼女の苦手なタイプの中には「花梨さんみたいな人」と、私も含まれていた。

まぁ、薄々分かってはいたけど、少しショックであると同時に、「苦手」という言い方は少々意外だった。
どちらかというと「嫌い」と言われた方がしっくりくるというか。

(夢の話だから、現実で本当に思われていたかは知らない)


彼女が「花梨さんみたいな人苦手」という発言をした時
冒頭でプロポーズしてきた男性が、笑いながら
「おいおい、オレの嫁さんにそんなこと言うなよ」
と言った。


私は、その時初めて
あ、私この人と結婚したんだ・・・
と思ったと同時に、それに対して嫌悪感が湧いた。

もう、後悔したって遅い。



集まりが終わってからだったと思うが
その公民館の中で、たくさんの人の中に
知っている人を見つけた。

後ろ姿しか見てないけど

でも

間違いない・・・

私が間違えるはずがない


“あの人”だ・・・!



私は、その人を

・・・好きだった、その人を

彼を追いかけた。


けれど見失ってしまった。


噂によると、彼は今、靴屋をやってるらしい。




或る日の夜
私は街へ出て、彼の靴屋を探した。

ここは小さな町だから、すぐに見つかると思ったけど
商店街は店がたくさんあるから、なかなか探すのが大変だった。


私が彼の店を見つけた時、お店は閉店する間近だった。

閉店というのは、今日はもう店を閉めるという意味ではなく、店を辞めるという意味の閉店の方だ。
店の中の物を引き取りに、業者も来ていた。


久しぶりに会った彼に、私は
「オーダーメイドで靴を作ってほしい」
とお願いした。

もう閉店するというのに、無茶な注文である。

今から作るのは時間はかかるが、彼は承諾してくれた。

でも、これが最後のつもりで、もう会う気はなかった。
なのに物として残ってしまう靴をオーダーメイドなんて、あまりに馬鹿げている。



「愛してるよ」
そう言って彼は抱き寄せてくれた。

私は彼のひざの上に頭を乗せて甘える。


ひざの上、あったかい・・・






・・・でも、これで最後だ。

彼には、奥さんがいるから・・・。

私も、結婚した。




彼は言う。

「君を愛しているけど、妻も愛している」
と。

選べない、ということを。



それは辛い言葉だった。




でも、これで最後だから。


もう終わり。

この恋愛は、もうこれで終わり・・・













※現実で、私は不倫をしたことはありません。