備忘録 映画編2024①
◼️Perfect Day

ドイツ人が作った日本映画
監督Win Wenders

役所広司演ずる主人公の平山は、渋谷の公衆トイレの清掃員

台詞が少なく無声映画を思わせる

(あらすじ)
下町の古アパートの角部屋にひとり住まいの主人公の平山は、目覚ましもなく毎朝、近所の老婆が道端をはく竹箒の音で目をさます。

布団をたたみ、歯を磨いて、盆栽に水をやる。

自販機で缶コーヒー(Bossカフェオレ?)を買い、1BOXの軽自動車で首都高速に乗り(ETC)、カセットテープでThe AnimalsのThe House of Rising Sunを聞きながら仕事場(公衆トイレ)へ向かう。

トイレ掃除の所作に無駄はなく、歯医者さんが使う歯の裏側を見る鏡を使い、便器の見えない部分にも汚れがないかをチェックする所に、平山の人間性が垣間見れる。

トイレを何ヶ所か掛け持ちして清掃する。公園のベンチで、昼食とおぼしきサンドイッチをほおばる。
フィルムカメラを取り出して、青空に向かってファインダーを覗き込まずに木漏れ日の写真を撮る。

清掃が終わると帰宅してから、自転車で銭湯の開く時間丁度に風呂に入りに行く。
その後、駅地下にある居酒屋で、サワーとツマミを少々

この時に通勤帰りとおぼしき人達の流れがスクリーンの後方に見える。
平山のいる「こっちの世界」と電車通勤をしている勤め人の「あっちの世界」が別世界に見える。
(自分も「あっちの世界」から「こっちの世界」へ行ってみたい。)

帰宅してからは、読書に耽けて寝落ちする。

こんなルーチンな日々を送る。

休みの日は、コインランドリーで洗濯をして、撮影したフィルムを現像に出す。引き換えに現像された写真を受け取る。その写真とネガを小まめに月毎に缶に入れて、押し入れに保管している。

この缶が、平山の好物である鎌倉紅谷「くるみっこ」のお菓子の缶であることが、重要な意味を持つ。

そんな平凡な日々を送る平山の唯一の楽しみが、休日に訪れる居酒屋
この居酒屋のママ(石川さゆり)が、森魚のギターで歌う「朝日のあたる家」は、さすが演歌歌手
これだけでも一聴の価値あり

石川さゆりの元夫役が、昭和の二枚目俳優三浦友和
久しぶりに見ましたが、衰えておらず昔の二枚目そのままでした。
(さすが百恵チャンの亭主)

(劇場中出てくる音楽)
エンディングシーンに流れるニーナ・シモンの「Feeling Good」
一聴してニーナ・シモンとわかった時は、嬉しかった😄
このシーンには、台詞はいらない。
台詞を語らずとも役所広司の演技に感無量

他にもローリング・ストーンズ、ヴェルヴェット・アンダーグランド、ルー・ニードなどカセットテープで流れる〜パンフレットより

このカセットテープが、ダビングしたものではなく、当時のオリジナルである所にこだわりを感じる。

(ETCのクルマにカセットテープなのが良い。CDが登場する80年代よりも前は、携帯性があるのがカセットテープでした。ウォークマンが登場した時は、感動しました。CMのサルも印象的でした。)

ちなみに平山は、スマホではなくガラケーでも、持っているのにはビックリしました。

(劇中で出る書籍)
「木」(幸田文)
「野生の棕櫚(しゅろ)」(ウィリアム・フォークナー)
「11の物語」(パトリシア・ハイスミス)

平山は、古本屋の百均コーナーの棚からしか抜きません。
これは、レコードのエサ箱漁りに通じるものがあります。