映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


断片的にしか語られない、物語の背景。

間延びギリギリの、淡々とした台詞回し。

凝った美術と陰影のきついライティング。


好みは分かれるのかもしれないが、

押井作品でしか味わえない「空気感」というものが確かにあって、

「絵」であるアニメーションなのに、そこに流れている風の温度とか、

タバコの匂いとかが伝わってくるのは、さすがとしか言いようがない。


こういう、その人しか作れないワールドを持てるかどうかが、

クリエイターとしてサバイブするための要件なんだろうと思う。


それって結局、自分が経験したことや考えたこと、

好きなことや感じること、個人的な全てをぶち込んで、

獲得していくものなんだろう。


口で言うのは簡単だが、多くの人が関わり、色々なしがらみがあり、

予算や時間の制約もある商業映像制作の中でそれを実現するのは、

相当にたくさんのハードルがある。


それらを全部突破するほどのエネルギー。

自己の世界に対するこだわり。

その情熱に、頭が下がる。