断片的にしか語られない、物語の背景。
間延びギリギリの、淡々とした台詞回し。
凝った美術と陰影のきついライティング。
好みは分かれるのかもしれないが、
押井作品でしか味わえない「空気感」というものが確かにあって、
「絵」であるアニメーションなのに、そこに流れている風の温度とか、
タバコの匂いとかが伝わってくるのは、さすがとしか言いようがない。
こういう、その人しか作れないワールドを持てるかどうかが、
クリエイターとしてサバイブするための要件なんだろうと思う。
それって結局、自分が経験したことや考えたこと、
好きなことや感じること、個人的な全てをぶち込んで、
獲得していくものなんだろう。
口で言うのは簡単だが、多くの人が関わり、色々なしがらみがあり、
予算や時間の制約もある商業映像制作の中でそれを実現するのは、
相当にたくさんのハードルがある。
それらを全部突破するほどのエネルギー。
自己の世界に対するこだわり。
その情熱に、頭が下がる。
