毎年行なわれているカンヌ国際広告祭の受賞発表が先週あり、
広告業界は今週、カンヌの話題で持ちきりだった。
TV-CMは終わったと言われている、と以前にも書いたが、
それは何も日本に限った話ではなくて、世界的にもここ何年か
CMの終焉が言われている。
でも、カンヌで受賞したCMを見ると、やっぱり面白いんだよなぁ。
ここで見られます。
http://www.canneslionslive.com/film/
画面の作り方、キャスティング、演出、編集、音楽、そして企画。
すべてが高いレベルで作られている。
飽きがこない程度の長さで。
人間のおかしみを描いた小話があって。
それだけなら驚くほどのことはないのだが、
その物語が、メッセージとともに商品に落ちてくる。
落ち方にきちんとツイスト(ひねり)があって、
思わず「なるほどね」と納得してしまう。させられてしまうのだ。
ただ面白いだけではなく、非常に計算された、知的なアイディアが
込められている、すごく高度なエンターテイメント。
さらに言うと、これが企業や商品のマーケティング戦略に則って、
クライアントを説得して、実際にTV-CMとして世に送り出している。
そこがすごい。
何故なら企業からしてみれば、CMによって商品が売れるかどうかが
プライオリティの一番目であって、表現としてどれぐらい面白いかは
その次の話だからだ。
特に日本の場合、企業の宣伝部が自ら全責任を持って、冒険に出ることは少ない。
そこまで独断で決められるのは、経営者である社長以外にいないから。
制作者が、直接社長とひざ詰めで話をして作れば、とがった表現は実現するかもしれない。
しかし日本の組織構造上、商慣習上、そんな環境は滅多にできない。
だからカンヌのCMを見ると、同じ「CM」という呼称ではあるが、
日本のそれとは同じものと思えないのだ。
映像表現のレベルとして、メジャーリーグと高校野球ぐらいの差を感じてしまう。
日本で売れるCM=タレントCMという構図が長い間浸透してきた。
それは流通やら、ターゲットやら、様々な理由でそうなっているのだが、
タレントに甘えてきたのが、日本のCMが効かなくなってきた一因になっていると個人的には思う。
いきなりメジャーリーグとはいかないかもしれないが、
せめて大学野球ぐらいまでにはレベルアップしたいものだ。
作り手の一人として、毎年、この時期は初心に返る。