GODエミネムのお話し第3部いかせて頂きます!押忍!


【8マイル】や記録的なアルバムの成功、裁判は終わり、残りの問題はゼロ。有るのは燃やすほどある金と、有り余る時間、最愛の娘達(エミネムは元妻と他人との娘を養女に迎えている)。


もう金で買える幸せはすべて買い尽くしてしまった。

成功は幸せだけを生むとは限らない。大事なのはバランス。


多忙で仕事もライブもズラリと入っているが、もはや新米とは違う。業界の生き方も熟知している。エミネムは退屈感を感じ始めた。

退屈は悪魔に狙われると聞いた事があるが、エミネムは狙い撃ちされたかの様な生活に入る事になる。


頻繁に開かれるパーティーで使用していた、MDMAやコカイン。

あらゆる事へのプレッシャー。

不眠。孤独。


『風邪薬を味見してみよう』


曲中でエミネムは当時の事をそう表現している。


始まりは、違法薬物ではなく、処方薬だった。

アメリカでは所謂ダウナードラッグが流行している薬物の1つで、オキシコドンやモルヒネの錠剤、たまにはヘロインやフェンタニルにも手を出していたかもしれない。

緊張や様々な重圧から逃れたかった。


処方薬の依存は、違法薬物依存とは違いがある。だから、周りの人間にも迷惑をかけるまでには時間が長い。

しかも、エミネムは皆にとって金になる。体の心配をする時は自分の取り分が減りそうな時。当然、処方薬の使用を知っていようが止めない。もしくは、エミネムに意見できる人間がいなかった。多分、そのどちらも当てはまる状況だったと想像する。

孤独はますます酷くなる。

売人達が『エム!オマエってマジでドープだよな!』とすり寄ってくる。


次のアルバムのコンセプトを考える。当時のビーフの相手【ジャ・ルール】へのアンサーソング、反ブッシュと選挙の投票への呼びかけ【Mosh】、下品を前面に押し出すコンセプトが決まり、制作に入る。

MDMAやコカインの様に、使用する時が限定的ではない処方薬は依存するのが早い。程度は低いけれど。


メジャー4枚目となるアルバム

【アンコール】も成功はした。売り上げも1000万枚を超えるほどだが、エミネムは嬉しさよりも安堵の気持ちがおおきかった。

このアルバム以降、エミネムは表の舞台からほとんど姿を消す事になる。 


時間と金、唯一信頼を置いていた親友で共にD12のメンバーである【プルーフ】の死。


孤独は益々酷く自分へ襲いかかってくる。

ダウナードラッグ特有の身体的依存が出始める。

例えばヘロインの身体的依存は、ヘロインが切れると全身の骨がバラバラになるような苦痛、嘔吐、とにかく身体がヘロイン切れになる事で、苦痛を感じる様になる、それが辛すぎるから次を入れる、当然精神的にもヘロインへの欲求を強く感じるはず。

精神的、身体的依存の両方に追い込みをかけられる、相当な苦痛。

が、治療薬のメタドンで楽になると、また欲しくなる。

これが、末期近くのヘロインの症状で、オピオイド系統の薬は身体的依存を形成してしまう。


エミネムはヨーロッパツアーを体調不良を理由にキャンセルする事になった。

ここまで依存が進むまで誰も止めなかったのか、止められなかったのか、エミネムは家に籠もりっきりになった。

同じアニメを何度も繰り返し見続けた。鎮痛剤や鎮静剤も、もはや1度では飲み込めない量になっていた。


ヒップホップ界には新たなレジェンドが現れていた。

【リル・ウェイン】


当時の気持ちを曲中で吐露している。


『リル・ウェインに嫉妬してたんだ。チヤホヤされてたし、ヤツは上がり調子だったし、俺は不調だった』と。


やはり普通の一人の人間なんだなと、思わせる言葉です。


エミネムは始めて治療の為に更生施設へ入所します。

クリーンになって戻って来たエミネムは、少し表へ出始めたのですが、また【再発】させてしまいます。

依存症の精神的な依存度の進む速さは普通ではないです。1度使えば、1番依存していた時期と同じだけ依存してしまいます。

人にもよりますが、エミネムの場合再発後すぐに再び更生施設へ入所しています。あと数分娘が発見が遅かったら生きてなかったとライムしています。


2度目の対処後、エミネムはラップのヤリ方すら忘れていたと言っていて、1からヒップホップをやり直したと語っています。


ここから、エミネムは本当の意味での、ラッパーになってゆく。



            続けるっすっ