「どこのモンと揉めとん?」
タケボーが面倒くさそうに聞いてきた。
相手は四国と広島の間にある一本の組織の中堅らしかった。シアリスの売り手は電話を俺に代わって欲しかったんだと思うが、俺が所属する組織は広域組織であるが故に、そう簡単に喧嘩は出来ない。チャカでも弾こうものなら絶縁だ。俺だって一応は小さいながらも一家を構えてる親方だが、だからこそ俺の個人的行動で若い者達に迷惑はかけないのが俺の主義だ。大義の為なら体も張るが、たかだかこの程度の揉め事に首を突っ込む程俺はお人好しと違う。
「なんか西組のモンにシアリスの話持ってってうまい事ならんかったらしいわ」
「ほっとくんか?」
「アタじゃろ。金にもならんし。何よりも目立ちたくない」
「ほいじゃ今から会うのはムズいか」
「分からん。連絡待ち」
俺達は一旦分かれ、夜飲みにでも出ようと約束を入れた。