セヴィニエ夫人の手紙 (息子の嫁の手紙) | アルプスの谷 1641

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1641年、マレドという街で何が起こり、その事件に関係した人々が、その後、どのような運命を辿ったのか。-その記録

 

 
 
 セヴィニエ夫人の手紙を再開します。

 

  ( 動画倶楽部の続きは木曜ぐらいに記事にします )
  
 前回、夫人は手紙の中で、息子シャルルの嫁との穏やかな暮らしを書き綴
 
っていましたが、今回はその「息子の嫁」がセヴィニエ夫人について書いた
 
手紙をご紹介します。
 
 
以下、注です。

 
 

誰もがあの方のことを深く慕いしております。
 
一族内のジョークで、息子シャルルの嫁はフランソワーズの夫を熱烈に愛し
 
ていることになっていました。 (そのような噂が立ったことがあるのでしょうか?)

 

しかし、実際には二人は会ったことがないようです。

  
 
イタチがカエルの口の中に飛び込んでいくが如く
 
英訳では、like the weasel into the toad's jaws となっています。こんな
  
比喩があるのでしょうか。逆なら話が分かるのですが。

  

分からないので直訳しました。
 
 

1989年 6月 29日
 
(以下の部分は、セヴィニエ夫人の義理の娘 [息子シャルルの嫁] が
 
フランソワーズに宛てて書いたもの)

 
 親愛なるお義姉さま。ええ、自分が何を言うべきか、よく分かっています。
 
確かに誰もがあの方のことを深くお慕いしております。私がその人の息
 
子のことも深く愛していることは敢えて言いますまい。混乱も甚だしい話で
 
すが。しかしながら、彼が私のことを 「叔母さん」 と呼ぶのはやめていただ
 
きたいと思っています。小柄で華奢な私ですから、せいぜい従姉妹 (いとこ) 
 
がいい所でしょう。
 
 お義母さまは私とは比較にならないほど健康です。背も高く頑健です。私
 
がお義母さまと接している所をご覧になったら、貴女はきっと焼き餅を焼く
 
ことでしょう。しかし、そこには何ら無理を強いられることが無いことを申
 
し上げねばなりません。私は夫人が本を持って独り森をさまようがままにさ
 
せています。それはイタチがカエルの口の中に飛び込んでいくが如く、自然
 
なことなのです。私について言えば、同様に自分の好みと気ままで庭に留ま
 
っています。お義母さまに対する気遣いは、それが認められた時点で、私た
 
ちには不要なものと見做されました。お義母さまが私のことを愛しく思って
 
くだっているとお義姉さまから伺って、とても嬉しく思います。お義母さま
 
からの愛がどれほど価値のあるものか、充分に理解しています。そして、私
 
もお義母さまを心からお慕い申し上げております。
 
 

(ここからはセヴィニエ夫人から娘フランソワーズに宛てた手紙)
 
 付け加えておきたいのですが、私は自分の義理の娘が書いたことを完全に
 
認めています。それはそうと、私は十八日付けの手紙をたった今、受け取っ
 
た所です。間違いなく十六日付けの手紙と一緒に届いていたはずなのに、
 
ビトレで停まっていたのでしょう。手紙を読んで、到着した時のシュバリエ
 
の様子が思わしくなく、胸を悪くしたまま、少しも回復していないことを知
 
りました。それを読んた私がどうしたか分かりますか? 貴女たち皆と同じ
 
ように涙に暮れておりました。その知らせは受け入れ難く、彼の本当の家族
 
の一員であるかのように心配しているからです。そちらの気候と休息で、
 
シュバリエの状態が良くなることを祈っています。貴女の看護はいつも良い
 
結果をもたらします。貴女を信じています。シュバリエにもそのようにお伝
 
えください。彼がいる部屋の様子をお知らせいただけますか? そうすれば
 
心の中でお見舞いすることができますから。