本当はこの記事を年末最後に持ってこようと思っていたのですが、映画の
内容が内容なので、新年を迎えようとする皆様の気持に水を掛けるような真似
はすべきではないと思い直し、早めに片付けることにしました。
ご紹介する映画は、ジャン=ピエール・レオ主演 『ルイ14世の死』、
制作年は2016年ですが、日本では今年5月に公開されました。
DVD の発売を待っていたのですが、よほど観客が入らなかったのでしょうか、
もう国内盤を発売する気も無いようです。 自分は待ちきれなくなつて、アマゾン
から英語字幕付のものを取り寄せて見てしまいました。
(Region 2 ですが、PAL方式なので国内製の再生機器では見られません。 PC
であれば再生可能です。 ご参考までに)
The Death of Louis XIV [Region 2]
数々の映画賞を受賞した冒険的作品だということは認めますが、
自分は作家がどのような意図でこの映画を製作したのか理解に苦しみます。
ルイは重度の糖尿病による足の壊死が直接の死因とされています。 しかし、
病から来る苦しみも僅かに描かれるにとどまり、枯れていく植物のように死
んで行くルイの姿を、映画は淡々と追うばかり。 表現らしい表現もありませ
ん。 感情移入さえも拒否するような冷徹さがこの映画の表現なのだと言うな
ら、その通りです。
ただひとつ感想を言うとすれば、記事の題に掲げたように
「死は万人の前に平等である」 の一事のみです。
読者の方々の中には、時間を掛けて亡くなる肉親を看取った経験をお持
ちの方も多いことでしょう。 私も父親を看取りましたが、まさに映画の中の
ルイと同じように旅立っていきました。 父は全くの無名の人、ルイは権力を
欲しいままにした人で、比べるのも馬鹿げているほどの差がありますが、死
の前ではその姿に何の変わりがあるのだろうかと思いました。 巨万の富も、
最後まで国王であろうとする執着も、ただただ虚しく、絶対的な死の前では
抗いにすらならないのです。
主演俳優は殆ど台詞も無く、演技らしい演技と言えば、幼い皇太子を呼ん
で、自分の犯した過ちを繰り返さぬよう諭す、有名な逸話が描かれている程度
です。 ヨーロッパの覇者として君臨した国王も、死の床にあっては後悔を噛
み締めるしかなかったのかもしれません。