「仮面の男」 は比較的最近に映画化もされています。
といっても、歴史の謎に迫るというようなものではなく、アレクサンドル
・デュマの小説「仮面の男」の映画化と言った方がいいでしょう。 「三銃士」
とダルタニアンの最後編となるようです。 小説は読んだことないので、よく
分かりませんが。
物語は面白さ最優先で史実なんか二の次。 しかし、とても面白いので大推薦
です。
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デュマの小説では仮面の男はルイ十四世の双子の弟という仮説で物語が組
み立てられています。 仮面の男がルイ十四世の双子の弟であるという俗説が
広く流布されたのは、この小説に依るところ大。 仮面が鉄製のものであるの
もデュマが考えたのでしょうか。 映画ではレオナルド・デュカプリオがルイ
十四世とその弟の一人二役を演じています。
史実無視の娯楽作品ではありますが、だからこそルイ十四世に対する評価
が明快かつ正直に描かれていると思います。 つまり、「自分のことしか考え
ない非情な暴君」 と 「フランスをヨーロッパの覇者に導いた名君」 という
二つの評価です。 この相反する評価が、映画でどのように描き分けられて
いるかは、見てのお楽しみ。
.ルイ十四世
仮面の男
母后アンヌ・ドートリッシュ
しかし、この映画、最後の最後でとんでもないことをやらかしています。
なんと、ルイ十四世が ピー (ネタバレ自己規制) ことを匂わせているのです。
これはデュマの小説には書いていないはず。 映画の制作者は仮面の男の正体
について、なにがしかの意見を持っていたようです。
たかが子供騙しの冒険大活劇と侮るなかれ。 見方によっては意外な奥の深さ
を感じさせてくれる映画なのです。