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第4章 「脱出」 第4節 は 9月4日 に投稿します。
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第4章 「脱出」
4. アンナ
ついに別れの時がやってきました。
農場を出ようとする私の所に、ジェラルドが駆け寄ってきてくれました。
私たちはその場で言葉も無く抱きあい、体を合わせたその一瞬を噛み締め
ました。
「先にジュネーブに行って待ってるわ。 あなたもすぐに来られるわよね」
「勿論だとも」 ジェラルドは微笑みました。 「みんなが安全にアーゾラを
離れるのを見届けたら、すぐに後を追うよ」
それから屈んで、私の脇にいるカリーナに言いました。
「アンナを宜しく頼むぞ、向こうに着いたら、三人で暮らそうな」
カリーナはその言葉に大きく頷きました。
私たちはついに長い旅の一歩を踏み出しました。
心ならずも、このアーゾラに連れてこられてから、早くも一年が経って
いることが信じられない思いでした。 この農場で過ごした最初の夜、どう
やってここから逃げようかと、そればかりを考えていたのが、まるで昨日
のことのように甦ります。 それが今、この場所から離れがたく、身を切るよ
うな悲しみを覚えるのはどういうわけでしょう。
私は何度も振り返って、私たちを見送るジェラルドをこの目でもう一度
見ようとしたのですが、何度、指で拭おうとも、目は涙に霞んで、その役
目を充分に果たしてはくれませんでした。