実は感じてた事がある。
家族に会って、私の旅は一回終わっている。
再び別れ、走り出してからは、もう新しい旅路だった。
そんな感じがしてた。
無理に延長戦をしているような…。
最後の日のプランはけっこうしっかりあって、最後の夜は、絶対キャンプ。
キャンプ場も決めてあった。
一人、最後の夜に乾杯するのだ。
そして、日本海側に出た時に通った国道を戻り、私の一周は完結するのだ…と。
それが出来ないのは、本当に残念だ。
けれど、これにも何かの意味があるものなんだと信じている。
盛岡まで走るのはとても無理だった。
徐々に腰の痛みが増してきたから。
男鹿は見れなくても、キャンプ出来なくても、日本海側に出た時の国道を、どうしても通りたい。
今日は秋田市まで走ろう。
そして、最後の県、秋田県に突入した。
強まる雨脚から、一時非難したくて、道の駅はちもりに入った。
あずまやに行こうとしたら、先客さんがいた。
邪魔かな…と少し迷ったけど、広いあずまやだったから、遠慮せずに入った。
チャリダーさんがお食事中。
目が合って、会釈。
「どちらから?」
「北海道です。」
「日本一周ですか?」
「はい。」
去年の6月に出発、冬は沖縄で越冬、ねぶた目指して北上中。
共通項多い!
嬉しくなって食事を邪魔してたくさん話かけちゃった。
はにかんだ笑顔と、物静かな話し方が魅力的。
しばらく、あずまやで雨宿りしつつ、おしゃべりした。
私の旅で、もしかしたら最後に会う旅人かもしれない。
良かった。まだ旅の魔法は消えてない。
「じゃあねぶたで!!」
また会いましょう!
雨はまだ強いけれど、私は出発した。
シールドにバチバチと雨があたり、いまだかつてないほど、カッパの中が濡れていくのを感じた。
おもらしどころじゃない。水没。
ちょっとした動きで腰は、下半身麻酔の注射を打たれた時みたいに
ジ~~~ンとしびれるような痛みが走る。
たまらん!
すぐ次の道の駅みねはまで休む。
室内の休憩所があって助かった。
あったかいオニオンスープを飲み、体を温めようとしたが、焼け石に水。
体を動かす事も出来ずに、凍えながら出発した。
ここからは本当に長かった!
距離にしたら60㎞前後と思うけれど、とてつもなく長かった。
秋田市に入り安心していたが、例にもれず道に迷う。
だああ!寒いっちゅうのに!
通行人のおねいさんに道を教えてもらい、ようやく目的地に着いた。