私はいつも、撤収の時は、パッキングが全部済んでから靴を履き替える。


今日も履き変えようと屈んだ。


「イテテテテ!!」


靴下が履けない…。


「ぐぎいぃ」


痛みに耐えても、今度は靴が履けない。


「イテテテテ!!あ~っはっはっはっはっは!!!!」


面白い。そう来たか。


跨ろうと足を上げても痛い、バイクを起こそうとしても痛い、ステップに足を上げても痛い。


「あ~っはっはっはっはっは!!」



しくしく



とりあえず、どんぐらい行けるかと、当初の目的通り白神山地へ向かった。


ただ運転してる分には、かろうじて何とかなる。


けれどバイクを止める時に足を下ろす、その度に悶える。


これはキツイゾ…。



十二湖へ向かう途中に、ふっと見えた白神山地。


霧か雲か、ふわふわと白く包まれて、より一層神秘的な姿。


よぅそろお-Image186.jpg


走り抜けると、次々と池が見えてきた。


よぅそろお-Image185.jpg


いくつもある池の中で、たった一つだけ、霧がかかっていた。


水面に被さる霧。


幻想的で、神秘的。


霧の演出は全てのモノに神秘性という施しをする。



雨は強くなっているけれど、私が見たかったのは、青池と日本キャニオン。


どちらも少し歩いて行く。


さあ、どうか。



駐車場から、散策路までですらたどり着けなかった。


歩けない。特に左足が上げられない。


ダメだ…。


とりあえず、食事所に入って体を温めた。


お店のおばちゃん2人とちょっとお話。


「帰ったら仕事無いんじゃないの?いっそ結婚しちゃえばいい!」


それが一番難しいのです…。


少しあったまったから、また唸りながらバイクで走り出した。



走りながら、考えた。



帰ろう。



この状態じゃあ、旅を続けるのは無理だし、どっちにしろ、後は男鹿半島を見て帰る予定だった。


旅の仕上げ…と言いながら、少し引き延ばしていた所もあった。



それに何となく、帰れ。と言われている感じがする。



結論を出しても、「終わっちゃう」とは思わなかった。


正直疲れていたし、北東北というホームグランドを走っているうちに覚悟が決まったのかもしれない。


ただ実感が湧かないだけかもしれないけどね。




進路は決まった。