車の主は、40代の海人。
「今、貝取ったから、見るか!?」
見たい!
駐車場のすぐ下の小屋に、貝たっぷり入ったケースがあった。
テラダ貝、シャコ貝、他がたんまり。
「今湯がいて食べさせてあげる。」
うそっ!嬉しい!!
小屋から鍋やガスコンロを出して来て、海から水を汲んで来る。
海水が沸くまで、お話をする。
徳之島には、けっこう旅人が来るそうで、旅人を見つけては、自分の捕った貝やタコを食べさせているらしい。
しかも、家に泊めたりまでしてるそう!
この旅人好き海人は、KBさん。
海と共に生きてきた生粋の島人。
この小屋も、海の道具用に、自分で作ったのだとか。
とても気さくなんだけど、どこかシャイで、なんともかわいらしい魅力のある人。
海水が沸いたら貝をガチャガチャぶち込んで、再び待つ。
茹で上がったら、海で洗う。
海水の塩味だけでもうじゅうぶん!!
シャコ貝は、歯ごたえがあって、また違う味。
旨い旨い!!洗いながらどんどん口に入れていく。
「醤油とマヨネーズに七味をふって食べるとサイコーだよ!」
塩味でこんなにうまいのに、さらにおいしくなっちゃうの?!
「家近いから、ごちそうするよ!夜光貝の湯がいたのもあるよー!」
普通なら警戒するとこだけど、この短時間のお話と、次々現れる、KBさんのお友達を見て、躊躇なくお邪魔する事にした。
なごみの丘からすぐ近くの団地に住んでるKBさん。
車のカギはかけない。
玄関も開けっ放し、窓も開けっ放し。
「カギかけないんですか!?」
「かけないかけない!」
お家の中には、自慢の水槽。
布団もドーン…
「ごめん!娘が出しっぱなしで…」
いえいえ、突然すみません。
テーブルには、さっきの貝と、夜光貝、イカゲソに島のミソをまぶした和え物。
いただきます!
醤油マヨネーズで食べると、都会的な味!
つまみに最高!!ビール欲しくなっちゃう!!
むしゃむしゃ食べてると、ソワソワ落ち着かないKBさん。
今日、この貝を食べに来るお客さんがいるそうで、どうやら緊張してる模様。
それもそのはず、そのお客さんは、飲み屋でたまたま会って、「貝食べるか?」「食べたい!」という、酔った勢いで約束した、ほぼ初対面の女性。
酔ってて、顔をあまり覚えてないそうな…。
ドキドキしながら女性に電話し、「来るまで居てね。女性が居れば、安心でしょ?」
アハハ!!ハイ分かりました~!!
シャイ☆
あれ…私、女と思われてないなぁ…。
またなごみの丘の小屋に戻り、いそいそと準備。
動揺してる動揺してる!
ソワソワしすぎ~!
しばらくして、女性登場。
ハツラツとした、島の女性。
初対面の3人で、ワイワイと貝をつまむ。楽しい♪
しかし、私のタイムリミットが海からやって来た。
港に行かなきゃ…。
最後に、島人とたくさん話せて楽しかった!
ほんとにごちそうさまでした!!
偶然、出会ってホントに良かった!
港は目茶苦茶混んでいた。
フェリーに乗り込むと、いよいよ内地に帰るのだ…と実感した。
島巡りが終わる。
内地に帰る安心感と、島から離れる淋しさが、私の心を乱した。