何となく、宿に帰ってきてしまった。

時間はまだたっぷりあるぞ。

そこで、相棒を少し手入れしてあげる事にした。

与論初日の雨で、チェーンはカラカラ。
車体はドロドロ。

まずはオイルを振りかけて……あっ!サビてる(泣)

そして、車体はふくぴかとから拭きを交互にかける。

だいぶサビてる(泣)

調子もイマイチだから、鹿児島行ったら見てもらおう。

とりあえずはピカピカっぽくなった。

えーと、もう動きたくなくなってしまったな…。

と、ぼんやり。

そういえば、宿の目の前に、『ゆうひの丘 愛の鐘』とゆうのがあるから、行って見よう。

ちょうど日も傾いてきてるし。

階段を登り、遊歩道に出ると、目の前のビーチが傾いた太陽に照らされてキラキラと光っていた。

沖縄も見える。

『愛の鐘』は遊歩道から少し下がる。

丘の先っちょの木に、鐘がぶら下がってた。

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こいつだな。

きっと、カップルが二人で鳴らすものだろうが、私ゃ一人で鳴らしたるわ!

力強く紐を引くと、びっくりするほど大きな音が出た。

ヤケクソの様に鳴らしまくってやった。

そして、愛って、何なのかな…と黄昏の海を眺める。

昼間に行ったビーチでもそうだったけど、ただ、海を見ていると、
「私は此処に居るよー!!」って叫びたくなる思いが沸き上がる。

やっぱり、大好きな誰かと、この時を共有したいんだ。

途絶える事なく聞こえる波の音や、風に撫でられて歌う草木のささやき、空を塗り替えながら暮れる太陽…。

「綺麗だね。」「うん。」

たったこれだけの会話を、大切な人達と交わしたい。

これは、愛と呼べるほど大それた事じゃない。

ただ少し、センチメンタルになってるだけ。

だからこそ、愛の鐘をもう一度鳴らしてやろう。


カーン!カッカッ!カーンカッ!


センチメンタルは吹き飛んだ。
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