相棒と私。

私の旅は、再び始動した。


今日はどうしてももう一度泊まりたかった名護市のビジネスホテルへ向かう。

そして、明日与論へ渡るのだ。


走り慣れたゴッパチ。

泣きながら走る。

胸が、じんわりとあったかくなって、ギュっと締め付けられるように思い出す、
みんなのやさしさ。

あまりに淋しくて、もういっそ、もう一日延長しちゃおうか…と思ってしまった。

絶対歓迎してくれるもの。


実に7ヵ月に渡る沖縄滞在記。

楽しい事だけじゃなかったからこそ、楽しかった事が眩しすぎる。

あまりにたくさんの事がありすぎて、考えきれない。


今はただ、淋しい。


走りながら、ここ、良く来たな…とか、この道好きだったんだよな…とか、
離れる淋しさの虜だった。

一休みにコンビニに入った時、Tちゃんからメールが来ていた。

またしても、私の背中を、とても爽やかに押してくれた。

淋しいのは、別れが辛いのは、とても得難い事なんだ。

それだけの時間を、共に過ごしたって事だから。

それでも、暮れて行く空は、私の胸の隙間に、さらに影を作った。


沖縄での生活を振り返りながら、相棒と走った。

沖縄で起こった全ての事、
沖縄で出会った全ての人、
沖縄に住む大切な友人達。

本当に本当に、全て、何もかもが必要な事だった。

新しい出会いも眩しいけれど、

深い感謝の念を抱きながらも、自然体でいられる友人達との絆が、眩しい。

私はなんてツイてるんだろう。


そして、まだ思い出すのは苦いゲストハウス勤務。

でも、「あれが無ければ…」とは微塵も思わない。

そこから学んだ事が、いつか、私に足りなかったモノを満たすと確信しているから。

そして、自分が思ってるよりずっと多くの人が、私を支えてくれていたんだと自覚できたから。

あまりにたくさんの出来事。

私の『沖縄』

愛おしくて、胸が苦しい。

それでも、かろうじて私を前に進めたのは、帰る場所に向かっているという事だった。


ほとんど休まずに、ホテルに到着した。

那覇を、早く離れないと、戻ってしまいたくなる。

振り返って身動き取れなくなってしまわないように、
ただただ先に進むしか出来なかった。


ここからは、帰路だ。

最終幕、開幕。